VIPO

インタビュー

2020.05.11


エンターテックがカルチャーを作る ~デジタルの進化とエンタメマーケターの役割~
環境の変化が激しいエンタメ業界において、デジタルマーケティングはジャンルの垣根を越え“ストーリー”を紡いでいくことが重要です。令和時代のデジタル×エンターテインメントの必要性や活用方法、今後、マーケティングをするにあたりどのようなことに着目していけば良いのか? 「エンターテック」という言葉の生みの親でもあり、今年で4回目をむかえる「エンタメマーケター養成講座」の講師である鈴木貴歩氏をお招きして、講座で学べる内容とともにお話していただきました。
(このインタビューは、2020年2月13日に行われました。)

(以下、敬称略)

 
 

デジタル環境に最適なマーケティングを駆使して、新しい才能や文化を世の中へ

テクノロジーの進化がエンターテインメントの流通やアートフォームに影響を与える

エンターテインメントとテクノロジーを合わせた「エンターテック」の第一人者
 
VIPO専務理事・事務局長 市井三衛(以下、市井) まずは鈴木さんのご経歴を教えていただけますか。
 
parade all imgParadeAll株式会社 代表取締役/エンターテック・アクセラレーター 鈴木貴歩(以下、鈴木)  私はパレードオール株式会社の代表取締役をしておりまして、エンターテック・アクセラレーターと名乗っています。「エンターテック」とは、エンターテインメント×テクノロジーの領域で、より幸せな結びつきを通じて文化を発展させていくというキーワードです。それを加速させる役割を担えたらと思い「エンターテック・アクセラレーター」と名づけました。
 
市井  パレードオールという会社名の由来は?
 
鈴木  パレードは「みんなをパレードする」という他動詞もあります。私がすべてを率いるということではなくて、みんなが同じ良い方向にパレードをするように歩いていく会社にしたいと名づけました。
 
市井  とてもいい社名ですね。
 
鈴木  前職はユニバーサル ミュージック合同会社というレコード会社で働いていました。音楽配信の事業戦略と開発、売上の責任を持つ本部長と他のポジションを担当していました。それ以前は、MTVジャパンに8年ぐらい在籍しデジタル事業を担当していました。ガラケー時代の公式サイトビジネスを立ち上げたり、外部企業と業務提携をして着メロタイプを立ち上げたり、いわゆる音楽流通の激動の時代に、着うた、ダウンロード、ストリーミングをど真ん中でやってきたので、その変化や流通の一翼を担わせてもらえた自負はあります。
 
市井  ユニバーサル ミュージックを辞められたのはいつですか?
 
鈴木  2016年2月末です。その年の3月1日に今の会社を立ち上げまして、丸4年が経ちました。
 
市井  起業することは会社を辞める前から頭にありましたか?
 
THE BIG PARADE鈴木  私はサラリーマン気質なので、自分で会社をやるなんて全く考えていませんでした。
 
ユニバーサル ミュージックにいた2014年に「ザ・ビッグ・パレード」という「SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)」に影響を受けたイベントを立ち上げました。そこで、エンターテインメントとテクノロジー、ベンチャーキャピタルや広告代理店さんなどいろいろな領域の方々と交流しました。それで会社の仕事以外でも「鈴木さんに手伝ってほしい」「こんなことできないか?」と声をかけてもらうことが多くなったので、人生に一度くらいは独立するのもありかなと考えて自分の会社を立ち上げました。
 
市井  そのイベントはユニバーサルミュージックというレコード会社でやる意味を持っていたってことですよね。
 
鈴木  はい、そうです。音楽業界で変化が起こり始めた時期だったので、ストリーミングやSNSなどの変化を可視化して、業界の方やファン、オーディエンスにシェアする気持ちでした。これは「エンタメマーケター養成講座」にもつながっています。
 
独立するときに、大きいコンサルティングファーム出身でもない私が他の業界や業種と差別化できるキーワードはないかと数ヵ月考えていたら「エンターテック」という言葉がおりてきました。当時はアドテックやフィンテックなど、「〇〇 × テック」という言葉が流行っていて、「エンターテインメントならエンターテック! これなら差別化できる」と思いました。そのためにはこの言葉が表す領域の第一人者にならないと生き残れないと思い、思いついてから2か月くらいで会社を立ち上げたんです。
 
市井  業界を俯瞰した時に音楽のエリアでエンターテインメント×テクノロジーがなぜ必要だと思ったのでしょうか?
 
鈴木  2016年当時、エンターテインメントとテクノロジーの領域の人が交流や融合するための言語や慣習にギャップがあると個人的に思っていました。テクノロジーの進化がエンターテインメントの流通やアートフォームにまで影響を与えていくということを、もっと多くの人が理解して、取り組むべきだと……。
 
エンターテックという言葉には、「エンターテインメント業界がテクノロジーを取り入れて、利活用するための橋渡しになりたい」という私のビジョンも込めています。
 
市井  その役割は大変重要だと思います。我々VIPOもテクノロジーとエンターテインメントの融合については全く同じことを考えているのですが、いざいろいろとコラボレーションしようとしても、なかなかうまくいかないと感じています。
テクノロジーが一般的に利用されるようになれば、エンターテインメントのシーンでも活用できるようになると思いますが、よくわからないテクノロジーの話になると、「もう少し環境が整ってから……」と言われてしまうことがありますよね。それについてはいかがでしょうか?
 
鈴木  テクノロジーを使うことが目的ではないので、テクノロジーがどのように流通し、聞き方、楽しみ方、アートフォームを変えるかを妄想も含めた予測でシナリオを描くことはできますよね。そのシナリオを持って、企業ごとに提案をしていくと通ったりすることもあります。

新しいテクノロジーを活用しつくした人が、次世代の主要アーティストになる
 
ParadeAll株式会社 代表取締役/エンターテック・アクセラレーター 鈴木貴歩氏鈴木  過去の変化を考えると、ある程度の予測は可能かなと思っています。
 
例えば、アナログレコードが7インチから12インチに変わった時は、片面の収録時間が長くなったことを活かして、ピンクフロイドが1つの曲につながっているように聞こえるコンセプチュアルなアルバムを発売しました。それが新しいアートフォームと捉えられて何千万枚も売れました。
 
また、YouTubeから出てきたジャスティン・ビーバーや、TikTokでブレイクしたリル・ナズ・Xを見ても、新しいテクノロジーを取り入れて活用しつくした人が、次世代の主要アーティストになっていますよね。そういうことの繰り返しなんだと思います。音楽やエンタメ業界でブレイクしてきたアーティストやそのチームは、その時代ごとの“イノベーティブ”な方々でした。なので、エンターテインメント業界で参考にする“前例”はイノベーティブでいることだと考えています。映画でも同じですよね。今まさに、シネスコやTHXなどいろいろな技術が発展してアートフォームが変わっています。

ストーリーテリングが今後のキーポイント

ストーリーの伝え方がメディアやテクノロジーによって変化する
 
市井  2019年度のアカデミー賞で韓国映画が作品賞を獲ったことは日本の映画業界にとってもポジティブなインパクトになるといいなと思っています。
 
鈴木  ポン・ジュノ監督はハリウッド式のストーリーテリング*を身に着けている韓国の映画監督です。

*「ストーリーテリング」とは、伝えたい思いやコンセプトを、それを想起させる印象的な体験談やエピソードなどの“物語”を引用することによって、聞き手に強く印象付ける手法

 
彼がハリウッドで評価されて、アカデミー賞を受賞できたことは大きいと思います。監督の才能や俳優、スタッフなど、受賞理由はいろいろあると思いますが、受賞の背景には韓国の映画学校がハリウッド式の教育をしていて、ハリウッド式のストーリーテリングを教えているという要素があると思います。ストーリー割や手法を見ると、ハリウッドの人たちにすんなり受け入れられた理由がわかります。K-POPもアメリカ式のストーリーテリングを取り入れていて、全世界でヒットしています。
 
市井  ストーリーテリングが重要ということですか?
 
鈴木  そうです。ハリウッドでは常識になっていて、ストーリーテリング自体を学ぶスクールもあります。日本の映画監督がアカデミー賞でメインの賞を獲りにいくならば、昔のシェイクスピアの戯曲になぞらえたストーリーテリングを学ばなければならないと思いますし、コンテンツマーケティングにおいてもとても大事な要素だと思います。
 
市井  ストーリーテリングについては、鈴木さんの「エンタメマーケター養成講座」でも初回からずっとテーマにしていますよね。
 
鈴木  ストーリーテリングでのストーリーの伝え方が、メディアやテクノロジーによって変わってきていると聞いて、エンターテックともつながると思いました。
 
つまり、コンテンツの情報を効果的に出すためには、フォーマットごと、メディアのタッチポイントごとに考えてうまく組み合わせることが重要です。例えば静止画なのか、動画なら尺、縦長、横長、そして視聴するデバイスに合わせて伝える内容を変えるなどしないと、本当の意味でのストーリーが伝わらない環境になっていると思います。

ストーリーテリングの概念とメソッドの進化
 
「SXSW」にて、AIにストーリーテリングのメソッドを分析させる講座の様子1鈴木  昨年の「SXSW」で勉強したのですが、サウスカリフォルニア大学の教授が、AIにストーリーテリングのメソッドを分析させて、脚本の時点でヒットする指数を出すシステムを作りました。それはハリウッド的なメソッドなので、作品の良し悪しとは違いますが、感情の盛り上がりの高低差などを分析するんです。日本はそこまでに至ってないですよね。
 
市井  ストーリーテリングのメソッドを理解している監督や編集の方はそれに基づいてやっているってことですよね。「SXSW」にて、AIにストーリーテリングのメソッドを分析させる講座の様子2他の業界にもそのメソッドが組み込まれていると良いということですか?
 
鈴木  そうですね。エンターテインメントのマーケティングをするときは、ストーリーを紡ぐということが根本にあります。ストーリーテリングの重要性については今後も周知していきたいので、VIPOさんとやっていけたらいいですよね。ストーリーテリングの概念とメソッドが進化していることを理解しないと、『パラサイト 半地下の家族』のように世界で認められることは難しいと思います。
 
市井  いろいろなテクノロジーや媒体が出てきているので、みなさんついて行くのが大変だと思うのですが、そこはいかがですか?
 
鈴木  私もついていけているとは思ってはいませんが、新しいものが出てきたらまずは使ってみます。あとは、国内はもちろん、世界のアプリランキングをチェックすると、その時に流行っているものをある程度、俯瞰で見ることができます。関連記事を探すのも良いと思います。海外でのプロモーションを考えたときに、その国で流行っているメディアや新しいものを知った上で施策を打つことができるので、説得力が違うと思います。

タッチポイントを考え、エンターテインメントの魅力をどう伝えるか

自分たちのメディアでエンゲージメントを高める
 
VIPO専務理事・事務局長 市井三衛市井  1つの作品で1つ学んだとしても、次の作品でまた何かをしようとすると世の中が変わっているので、大変なことだと思います。
 
鈴木  これが日本で応用できるか分かりませんが、アメリカのレコードレーベルでは最近“オーディエンス グロース”(=デジタルの視聴者やフォロワーを増やす担当)といったポジションが募集されていて、レコードレーベル自体のメディアやSNSアカウントにフォロワーを増やす戦略を行っています。今は、自分たちのメディアにオーディエンスを引き込んでエンゲージメントを高めていくことが必要になっています。これからは、映画業界や他のエンタメ業界もそれに追随していくと思います。
 
作品ごとに予算をかけてプロモーションすることも大切ですが、自分たちのファンやオーディエンスを囲い込んで、エンゲージメントを高めて、プロモーション時にどのように活動できるかがキーだと思います。
 
市井  音楽業界はアーティストという切り口ならば、楽曲のリリースやライヴなどでファンやオーディエンスとのコミュニケーションも取りやすいですし、頻度もあると思いますが、映画だと監督になるのでしょうか? そうなると監督によっては作品の公開が数年に1回程度ですし、映画配給会社でやるとなるとあらゆるジャンルがあるので、ターゲットがあまりにも広すぎてエンゲージメントが難しそうな感じがします。
 
鈴木  ワーナーブラザーズさんの例ですが、ツイッターアカウントでは、彼らのコンテンツに応じた映画のキャラクターの誕生日や、過去の映画公開日などのツイートをしているんです。映画ファンに対するエンゲージメントを常に高めることをしていておもしろいなと思いました。一筋縄ではいかないところを、彼らなりに試行錯誤してやっているんだと思います。昨年の講座では映画会社のSNSマーケティングをサポートしている株式会社フラッグの社長にもゲスト講師として来ていただきました。
 
市井  そういったツイッターの施策は海外でもやっているんですか?
 
鈴木  はい。ワーナーのアカウントでエンゲージメントを高めても、そこだけでヒットを出すのは難しいので、いざ作品が立ち上がったら、そこからは作品のツイッターアカウント、俳優、監督、有名スタッフのアカウントを巻き込んで、映画の情報に結びつけています。自分のメディアでエンゲージが高まると、相乗効果をだしやすくなりますよね。
 
市井  全体のアカウントを見ながら、作品ごとに何をやっていくかを考えているんですね。作品軸と会社軸をどううまくリンクさせていくかということですね。深いですね。
 
鈴木  そういう時代になりつつあると思います。
 

新しいことをするベストなタイミングの読み取り方と、伝え方
 
市井  デジタルの活用や新しいことをやってもらうために大変だったことはありますか?
 
鈴木  「機が熟すタイミング」をどう読み取るかが難しいです。そして機が熟すタイミングを理解してもらうことも大変です。提案をしている時点では熟していないことも多いので、みなさんの中で良いタイミングだとわかってもらえないのが一番難しくて大変でした。
 

ParadeAll株式会社 代表取締役鈴木氏とVIPO事務局長市井 対談の様子

 
市井  機が熟す手前で話をするのはすごく難しいですよね。その場合、比較的先進的な人を選んで話をするんですか? 最初の1歩を知りたいです。
 
鈴木  なるべく“世の中ごとにしていく”ようにしています。メディアでそのようなことを話させてもらって、取り上げられることで説得力をつけています。先ほどお話しした「ザ・ビッグ・パレード」もそのような気持ちでやっていました。提案をするだけでは、ビジネスの話で終わってしまいますが、日経に掲載されるなどすると世の中ごとになっていきますね。
 
市井  世の中の流れとして作って行くんですね。
 
鈴木  それもストーリーテリングだと思うんですよね。

変化に対する知見が蓄まっている音楽の領域からエンタメ全体を考える

エンターテインメント業界をトータルに考えられる講座
 
市井  2017年から毎年VIPOで開催している「エンタメマーケター養成講座」は、週1回ずつの全4回で構成されています。メイン講師である鈴木さんの他に、毎回異なるゲストスピーカーを招く珍しい形で行っています。講座の組み立てについて、聞かせていただけますか?
 
鈴木  VIPOさんが、エンタメの業界同士で知見をシェアしているのは大変すばらしいと感じています。音楽業界はそういう機会があまりないのと、昔から常に過激な変化に一番はじめにさらされるコンテンツでした。そういう部分ではさまざまな変化に対する知見が蓄まっている領域なので、マーケティングの視点やノウハウをもっと共有したいと思っていました。
 
例えば音楽ならストリーミング、映像はここ数年が盛り上がっている配信で、どのように契約して広めていくのが業界の発展のために一番良いのか? ストリーミング時代のアーティストをどのようにマーケティングするのか? を考えることが必要だとお話しています。
 
5Gになると、映像、音楽、ゲームなど、エンターテインメントのアートフォーム自体が溶けあっていくと思います。音楽と映画でマーケティングを区分けするのもナンセンスで。はじめにお話しした「エンターテック」という言葉にも込めていますが、エンターテインメント自体をもっとトータルにとらえて取り組める、そのような講座にしたいと思い、講座名は「エンタメマーケター養成講座」にしました。
 
鈴木  何か一つだけやればブレイクする時代ではないと思います。Spotifyだけでアーティストがブレイクするわけでもなく、TikTokだけで新曲が売れるわけでもないということを踏まえて、曲やアーティスト、作品ごとにどのようなストーリーを紡いでいけば良いかを講座でしっかり伝えたいです。そして、施策をストーリーという視点から構成して紡ぐことが大切だと知って欲しいです。
 
ParadeAll株式会社 代表取締役鈴木氏とVIPO事務局長市井 対談の様子さらに、5Gやオリンピック後を考えると、グローバルのマーケットをどう攻めるかはすごく大切なトピックになるとは思うので、その一つのヒントになるようなお話ができたらと思っています。
 
市井  講座の参加者の方々は、音楽業界以外のエンタメ業界の方が多くいらしてくださって、良かったと思いました。
 
ゲストスピーカーの方々は毎回違いますが、どのような切り口で選んでいますか?
 
鈴木  最新のトレンド情報や業界を俯瞰するポジションからシェアできる人間が私だと思っているので、ゲストスピーカーには、エンタメ業界において一番大事な“現場感”のある方をお招きしています。それぞれの立ち位置から話しができて、全体のことも分かるバランス感覚を持っている方を人選させていただいています。
市井  音楽に特化しているわけではなく、広めに設定しているということですよね。
 
鈴木  はい。エンタメ業界の多様な企業の方が受講してくださるので、みなさんに「参加して良かった」と言ってもらうためには、当然、音楽の話だけではいけないと思っています。業界やマーケットが変化してくる中で、それまでデジタルに全く関係のなかった部署から移動してくる方も年々増えてきています。そのような方にVIPOさんを通じてこのような話ができることで、エンタメ業界全体の底上げにつながるといいなと思っています。
 

エンタメマーケター養成講座の様子
エンタメマーケター養成講座の様子

プロデュースや企画をする人にこそ知って欲しいこと
 
鈴木  今、デジタルが当たり前になっていますよね。音楽で言えばストリーミング、映像で言えば動画配信があります。音楽のストリーミングは、カタログの活性化という部分も大きいです。グローバルで見ると三大メジャーレーベルが自らカタログをプロモーションすることで、大変うるおっていて、カタログからの収益が下支えしています。
 
映像業界にそれが当てはまるのかというと、まだまだそこまでは至っていないのではと感じています。カタログを持っている配給やスタジオなどの権利者がもう少しプロモーションしてもいいのではないかと思っています。
 
市井  それは先ほどの映画会社の話にもつながりますね。
 
鈴木  『パラサイト 半地下の家族』がアカデミー賞を受賞したことで、同じ監督作品の『殺人の追憶』が「ここで見られますよ」という情報がスッと入ってきたら、みなさんそこでストリーミングしますよね。これはビジネスの構造の違いもあります。音楽は再生されればされるほど売り上げが上がる構造ですが、映像のデジタルプラットフォームに関しては定額でライセンスされているのかも知れません。それでも再生回数が上がったほうが、次の取引の交渉がしやすくなると思います。それも踏まえて、どのようなマーケティングするかの交渉力、ビジネスの拡大に関して話を繋げていっては・・と思っています。
 
市井  映画関係の交渉を必要とする方々にも参加してもらいたいですね。
 
鈴木  はい。他業種の例も含めて、業界で起こっていることやエンタメ関連の知識や経験が“講座”という整理されている形で話を聞く機会は少ないと思うので、非常に役立つと思います。より作品やアーティストに近い方にも参加していただきたいです。音楽で言えば事務所のマネージャーをしている方や、映像で言うとプロデューサーの方にも役立つ講座だと思っています。
 
市井  ゲームなど作品の近くにいて、仕組みを考えなければならないプロデューサーや企画職のような方にも参加して欲しいですね。

エンターテックがカルチャーを作る
 
鈴木  エンタメマーケティングは最初に立ち上げた当時よりも当たり前にはなってきていると思います。音楽で言えばビックプレーヤーもデジタルの時代になっていますし、みなさん、当たり前にSNSやYouTube等を使ってランダムにコミュニケーションをとられていますよね。そういう中でどのように効果的に情報を出していくか、メディアのタッチポイントごとに考えていく必要があります。新しいテクノロジーを組み合わせていかないと、本当の意味でストーリーが伝わらない環境になっている今だからこそ、取り組んでおく必要があると思います。
 
グローバルなエコシステムがデジタルテクノロジーだと思います。新しい才能を世の中に出していくことは文化を作ります。その中心になれるのがマーケターだと思います。
 
市井  確かにそうですね。そういうことも含め、基礎内容から最新の応用術まで海外事例を元に最適なマーケティングについて学べるのが、「エンタメマーケター養成講座」なんですね。今年の講座も楽しみにしています。今日はどうもありがとうございました。

EnterTech drives Culture
EnterTech drives Culture

 
 

鈴木 貴歩 Takayuki SUZUKI
ParadeAll株式会社 代表取締役/エンターテック・アクセラレーター

  • ゲーム会社、音楽放送局等でコンテンツ企画、事業企画を担当した後に、2009年にユニバーサルミュージック合同会社に入社。デジタル本部本部長他を歴任し、音楽配信売上の拡大、デジタルマーケティングの強化、全社のデジタル戦略の推進、メディア/プラットフォーム企業との事業開発を担当の後、起業。現在はエンターテインメント、テクノロジー領域のコンサルティング、マーケティング戦略、海外展開支援を行う。


 
 


新着のインタビュー記事はメールニュースでご案内しています。
よろしければ、こちらよりご登録ください。

メールニュース登録


インタビューTOP