
VIPO統括部長兼グローバル事業推進部部長 森下美香(以下、森下) 岡本先生とは、2018年初めてアヌシーで東京に焦点を当てた「TOKYO SCRAMBLE」という東京にまつわる作品や作家さんの企画展をキュレーションしていただいたのがスタートでした。
東京芸術大学 副学長 岡本美津子(以下、岡本) 俯瞰的に言うと、今、日本のアニメーションは将来に向かってたくさんの課題を抱えていて、次のステップや次のモーションを考えて行くべき時期にあると思います。
そこで思いついたのが「100人のクリエイターを連れて行こう!」という「Creator’s File 100」です。100はあくまで目標値ですが、それだけたくさんの方を連れて行きたいという思いでした。
岡本 「NEW MOTION」、「Creator’s File」について言えば、今回は26名を連れて行きましたから、次はNo.27からにして、さらに色々な制作者たちをフィーチャーしたほうがいいと思っています。今回行けなかった方にもぜひ機会を与えるようにしていければと思っています。1人ひとりがとても素晴らしいんですよ。
森下 今回、日本の若手作家をまとめて連れて行かれましたが、1番の日本の強みは何でしたか?
森下 今回「NEW MOTION」のメインビジュアルの近藤綾乃さんは岡本先生の強いご推薦で選ばせていただきました。アンテナを張り巡らせている先生だからこそ、彼女をご存知だったのだと思います。近藤さんに関して先生はどのように知って、どうしてメインビジュアルに起用しようと思ったのでしょうか?
森下 アヌシーに行かれたクリエイターの方とお話しして、印象に残ったコメントや刺激を受けたと感じた瞬間はありましたか?
森下 今回、坂本サクさんが、アヌシーでブレイクしましたね。取材とかすごかったです。
ところで岡本先生はアヌシーへ何年くらい行かれていますか?
森下 今回は、才能からいうと、押山清高さんがアヌシーで“スター”になっていると思いました。200名以上の学生さんに「MIFAキャンパス」という作画教室をやりました。教え方もとても丁寧でしたね。「MIFAキャンパス」は10分で完売。日本人で押山清高さんの名前を知っている方はあまりいないのに、フランスの学生があれだけ知っているということがすごいですよね。
日本の宝として、押山さんクラスの方は何十人もいらっしゃいますが、押山さんはそのトップの1人です。そういう方をどんどんフィーチャーしていきたいですね。
森下 あとは、「アニメーション・ブートキャンプ」ですね。
森下 ヴィヴァルディの『四季』のAIコンサートが素晴らしかったですね。岡本先生はずっと新しいアニメーションの形をコンセプトにしてきましたが、特にこの『四季』の企画についてご説明ください。
岡本 双方がベストパフォーマンスで上映するために、そのタイミングやボリュームをAIでマッチさせていけるように、テクニカルチームが開発しました。
これからフランスの学生が日本のアニメスタジオで働いたり、オンラインで働くような環境についてどう思われますか?
岡本 『I Lost My Body』も人間や人生を考えさせられる、いろいろな哲学が入っていて、いわゆる商業作品のようなわかりやすい作品ではない、より“本質的な表現”の作品だと思いました。
岡本 日本はこれだけアニメ大国なのに、アニメーションの教育カリキュラムがいまだに少ないです。
湯浅政明さんは、アートや商業も全く垣根のない作品を作りますよね。とんがった表現をする方たちをもっと勇気づけたいですね。押山さんがやろうとしていることも、そこだと思います。新しい短編を1人プロダクションで作っていくことにトライしているので。野心的な人を応援したいですね。
