VIPO

インタビュー

2018.05.28


急速に成長をする中国アニメ配信市場で、日本アニメ業界がなすべきこととは
コンテンツ東京2018特別講演「中国のコンテンツ配信動向~中国アニメ配信事業の最前線と未来~」は、中国とのコンテンツ取引の第一人者でもあるJC FORWARD CEO」の分部悠介氏と、中国でトップのアニメ配信プラットフォーム「テンセント」の責任者、何子芸氏をお招きして、日本のアニメコンテンツ事業者が今知っておくべき現状と、今後中国市場に入っていくためにはどうしたらいいのかをそれぞれの視点からお話しいただいています。また、モデレーターをVIPO専務理事・事務局長の市井三衛が務め、パネルディスカッションも行いました。
(写真:左からVIPO市井、何子芸氏、分部悠介氏)
分部悠介氏[略歴
JC FORWARD CEO
何子芸氏[略歴
テンセント アニメ・版権運営センター ゼネラルマネージャー

(以下、敬称略)

ビッグマーケットの中国アニメ市場を知って、ビジネスチャンスをつかむ

 

中国のコンテンツ配信動向~中国アニメ配信事業の最前線と未来~

 

VIPO 専務理事・事務局長 市井三衛
VIPOの取り組みと役割について

 

VIPO専務理事 事務局長 市井三衛(以下、市井)  ただいまご紹介いただきましたVIPOの市井と申します。よろしくお願いいたします。 本日このような場所をご提供いただきました主催者リード エグジビション ジャパン 株式会社の方々に、厚く御礼申し上げます。
私からはVIPOのご紹介、分部さんからは中国のコンテンツ市場全体とその中のアニメ市場について、何さんからテンセントのアニメ戦略について話していただきます。

そして最後にパネルディスカッションを行います。VIPOは映像産業振興機構を英語にして、visual industry promotion organizationの略です。2004年に経団連のエンターテイメントコンテンツ産業部会の発案により、映画、アニメ、音楽、ゲーム、キャラクター、出版等の日本のコンテンツ産業を国際競争力のあるものとし、さらに日本経済の活性化に寄与することを目的に設立されました。会員は日本を代表するコンテンツ企業の方々及び関連団体、またコンテンツ産業をサポートする一般企業の方々等、約110社になっていただいております。現在は、主に人材育成と市場開発という2つのテーマで活動しております。ここでは、本セミナーに参加されている皆様に関係のあるポイントを5つ取り上げさせていただきます。

1、昨年度の3月31日でJ-LOP4は終了し、既に今年度の新しい補助金が発表されています。7回の説明会はすべて満席となっていますが、今後も継続的に説明会は開催しますので、詳細はホームページを参照してください。新しい補助金をうまく活用して、皆さんの海外展開に役立てていただければと思っております。

2、昨年から中国およびアニメ関連という切り口で数多くのイベントを行ってきました。2月に「コンテンツ業界が知っておきたい中国ビジネス攻略セミナー」を2回実施させていただきました。これはかなり好評なので、今年の4月以降も様々なセミナーを企画中です。メールなどをチェックしていただければと思います。

3、VIPOアカデミーは、コンテンツ業界のリーダー育成及びビジネスにつながるネットワークを構築することを目的とした教育プログラムを提供する人材育成事業です。約3年の間に89社360人の方に受講していただいています。現在募集中ですので、ご興味ある方はぜひご参加ください。

4、JACCは、今まで課題であった「日本のコンテンツを使いたいけれどどこに問い合わせればいいのかわからない」という海外エージェントやバイヤーの方々、問い合わせてもたらいまわしにされて困っていた日本の方々に使っていただきたいデータベースです。
日本のコンテンツの問い合わせ先をまとめたデータベースがないことで、日本のコンテンツの海外展開が阻害されるという事がないようにJACCを作り、1年前に一般公開しています。
コンテンツの基本情報やコンテンツ窓口を横断的に検索できて、かつ脚本データベースやロケ地情報も入れています。今後もさらに新たなデータベースを追加していきます。
今は日英版ですが、将来的には中国版も検討しないといけないと思っています。英語としては約25,000件※がこの中に入っていますので、ぜひ一度アクセスしてみてください。
検索している人は日本からは18%※で、82%※は海外から検索されています。
※平成30年5月7日現在

5、ジャパンアンバサダーは、日本文化を愛する外国人(ジャパンアンバサダー)によるSNSプロモーションや海外リサーチなどを行っています。世界中に1万人の登録アンバサダーがおりますので、海外進出に備えて課題がある方は、ジャパンアンバサダーを活用頂き、問題点を解決していただきたいと思っております。

 

「JC FORWARD」 分部悠介 氏
日中関連の交流のサポートを担う

 

分部氏(以下、分部)みなさんこんにちは。「JC FORWARD」の分部です。
私は10年前に日本から中国に移住しまして、上海を中心に日中のコンテンツの取引のサポートをしています。中国では主に4つの法人を運営しています。
日本のコンテンツを中国に持って行くお手伝いをしているのが、「JC FORWARD」で、「Animation Forward」は中国の漫画や小説を、日本のアニメ会社の力でアニメ化して、中国で放映しています。そして「IP FORWARD」は、法律事務所です。中国は昔、海賊版が非常に多く流通していました。今でも知的財産や法律の問題は多いので、この問題を解決しています。
そしておととし、「二次元産業連盟」という中国の文化部の直轄の団体が作られました。これはコンテンツビジネスが中国で発展していく中で、業界内での知見の共有をしています。
このように、主に日中関連の交流のサポートをするお仕事をしています。

 

中国コンテンツの市場規模

 

10年前は、中国は海賊版だらけでした。日本のコンテンツメーカーが、まさか中国でビジネスをする時代になるとは考えられもせず、中国国内でもコンテンツ市場は成り立っていませんでした。
ところが最近コンテンツ市場はどんどん成長しています。直近のデータによると約50兆円とも言われています。日本のコンテンツ市場の規模が約13兆円と言われているので、中国の市場規模は日本の3~4倍で、まだまだ成長を続けています。

 

コンテンツ市場消費者概況

 

地域的には広東省が一番多く、湾岸部の大都市がそれに続いています。広東省は香港の近くなので、昔から開放的でコンテンツに親和性があります。最近では四川省もIPやゲームが盛んで成長しています。
性別は男性のほうが多いですが、最近では女性向けのコンテンツも増えてきています。
年齢は、中国ではよく世代で区切られます。1995~2000年生まれの人を95年世代と言い、20歳前後となっています。
95年世代の20歳前後の若い人が、たくさんコンテンツを消費しているというデータが出ています。学生が一番多くて、次に会社員が続くという流れになっています。

 

動画配信市場規模

 

アニメは、中国ではほとんどがテレビではなく、動画のプラットフォームで配信されています。動画プラットフォームの市場は、パソコンユーザーとモバイルユーザーでは、パソコンユーザーが5億人、モバイルが4億人となっています。パソコンユーザーでもモバイルユーザーでも7割の人が動画を見ています。
そして有料ユーザーは急激に増えてきています。海賊版が多かった時代は、コンテンツにお金を払う概念はありませんでした。しかしここ5年位の間に、中国政府が摘発を強化したことで海賊版が大幅に減少しました。
その結果、動画プラットフォームにきちんと月額課金をして視聴する消費行動がどんどん普及してきています。直近の有料ユーザーの市場規模は1兆5千億円くらいとなっています。有料ユーザーの年齢も20代くらいが非常に多く、20代の消費力が上がりコンテンツにもお金を払うという流れになっています。

 

主要な動画サイト

 

<総合型>
ニュースや、アニメ、ドラマ、スポーツなどがある総合型で強いサイトは、「IQIYI」、「テンセント」、「YOUKU」です。1か月に約2億人から2.5億人がアクティブに見ています。3位以下の視聴者数は非常に少なく、「楽視ネット」などは去年資金繰りが厳しくなったなどと報道もされていました。
<ユーザー交流型サイト>
ユーザーが動画をアップロードして相互にやり取りをする、ニコニコ動画を参考にして作られたサイトです。日本では「ビリビリ動画」が有名だと思います。アクティブユーザー数は3千万人位で、総合型に比べて桁ひとつ少なくなってはいますが、現在は「ビリビリ動画」さんがぶっちぎりで1番です。

 

アニメ市場規模

 

アニメの市場規模は、毎年2割程度の規模で成長し続けています。2016年のデータでは2兆円くらいの規模となっています。
コンテンツ産業全体50兆円のうちの2兆円なので、全体の約5%と言えます。中国でのコンテンツと言ったら、ゲーム、映画、ドラマが大きいですが、アニメも伸びてきています。

 

中国における展開模様の変遷

 

中国のIPコンテンツにおける日本との関わりについて、私の直感的なところでまとめたお話です。
20年以上前(2000年より前)は海賊版が非常に横行していました。ライセンスを受けるなどほぼ皆無でした。
それが10年前くらい(2010年前くらい)から買うというように変わってきました。中国政府の海賊版の取り締まりや、中国自体がコンテンツ産業を育てるためにクリエイターの著作権をきちんと保護する政策も展開されてきました。そういう中で「テンセント」を代表とした大手IT会社が日本の企業からきちんとアニメを買ってくる時代になってきました。
2015年くらいからは創るという時代が来ています。ついこの前までは、買うということでコンテンツ市場が盛り上がり、投資やファンドも含めた多額のお金で何でもかんでも買うという時代でした。
それがひと段落して、今中国市場に本当に必要なコンテンツは何だろうと中国の企業も真剣に考えた結果、日本のコンテンツをただ単に持ってくるのではなく、消費者に合ったコンテンツを日本のクリエイターと一緒に創るというのが最新の動きだという認識です。

 

中国アニメ作品ジャンル別割合

 

2016年に流れた中国のアニメ作品で、どのようなジャンルが流行っているのかの統計です。一番多かったのが「バトルアクション」で18%、続いて「熱血・冒険」が17%となっています。この「バトルアクション」や「熱血・冒険」は日本でも人気のジャンルだと思いますが、中国の特徴としてこれに続いて「歴史」が16%となっています。そして意外かもしれませんがお笑いも多いです。そして、スポーツ、ファミリーものと続いています。

 

主要サイトにおける日中アニメ配信比較

 

主要3サイトにおける日中のアニメ配信比較について、簡単に調べてみました。それぞれのサイトで日本のアニメ、中国のアニメ別に何がどのくらい人気なのかを調べました。「IQIYI」は日本のアニメ作品は約900作品くらいあります。この作品の中には予告編のようなものも含まれているので、正しい数字ではないかもしれないことをご了承ください。「IQIYI」の中では『ワンピース』が非常に人気で、最多再生回数が103.1億回となっています。中国アニメでは『熊出没』という国内で有名な3Dアニメが20.1億回再生となっています。

「YOUKU」でも日本のアニメ作品は約900作品くらいで、『NARUTO』が59億回くらいで最多再生数です。中国アニメでは『『秦时明月之君临天下』という2017年に有名になった武侠ものアニメが30億回の最多再生回数でした。「テンセント動画」は日本のアニメ作品は約600作品で、中国アニメが約670作品と若干多く配信されています。『クレヨンしんちゃん』が最多再生回数17億回です。中国アニメは、『狐妖子紅娘』という狐が女の子に化ける物語が大人気で最多再生回数15億回くらいありました。

主要サイトにおいては日中のアニメは大体同じくらいの数が配信されていますが、それぞれに飛びぬけた人気作品がある状況になっています。

 

アニメ国別割合推移

 

今、中国に流れているアニメの国別の割合をまとめた統計を見ていきたいと思います。
約10年前の2011年は日本のアニメが9割を占めていました。それが徐々に中国のアニメも増えて、直近では日中同数程度になってきています。 欧米などその他の国もありますが、圧倒的に海外というくくりでは日本のアニメが強いです。しかし、だんだん減っているところは見逃せません。
しかも日本作品は古い作品・昔から有名なBIG IPアニメが多いです。しかし中国では新しい作品がどんどん出てきて、リリースの間隔も短くなっている印象があります。このまま手をこまねいていると、どんどんレベルが上がってきている中国作品に日本作品が入っていく余地がなくなってしまうのではないかと個人的には危惧しています。どのように日本作品を入れていけるかは、ここ1、2年が勝負かなという感覚を持っています。

 

国産作品の台頭

 

背景や実情をご説明します。
2000年以前は日本アニメの海賊版が流行っていましたが、2000年以降は国産アニメを創ることを国策として中国政府が取り組み始めました。
特に2006年から、テレビのゴールデンタイムでは海外アニメを放映しない規制を課したり、各地にアニメ産業基地を建設したり、補助金制度をつくったり、減税措置をとったりと政府のサポートを受けながら中国の国産アニメは発展してきています。

 

国産人気作品(2017年)

 

1位 秦时明月之君临天下

2位 全職高手

3位 画江湖之杯莫停

4位 狐妖子紅娘

5位 天行九歌

6位 画江湖之不良人 第二季

7位 十万個冷笑話 第三季

8位 新葫芦兄弟

9位 斗破蒼穹

10位 武庚紀

ジャンルはバトルものが多いです。そして特徴的なのは、中国では3Dアニメがとても人気なので半分くらいが3Dアニメになっています。

漫画が原作のアニメはまだ中国にはあまりありません。漫画ビジネスはあまり普及していなくて、ネットの小説やアニメのために作られた原作がほとんどです。
2位の『全職高手』は画期的でした。美少年ファンタジーで日本的な雰囲気でした。7位の『十万個冷笑話 第三季』は、ギャグ漫画です。

 

日中合作人気作品(2017年) 

 

3年前ほどから中国でも創るという流れが出てきている中で、中国の原作をベースに日中のアニメクリエイターが一緒に創るという場面が増えてきています。制作企業は全て「テンセント」系です。そういう意味では、「テンセント」は日中合作をリードしてくれています。

1位 从前有座灵剑山

2位 一人之下 第一季

3位 凸变英雄

4位 侍霊演武

5位 一課一練

6位 時空使徒

7位 霊契

8位 銀之守墓人

9位 狐妖子紅娘

10位 理想禁区

1位の『从前有座灵剑山』は、3年前、一番初めに出た日中合作のアニメです。それ以外に日本でも知名度が上がってきているものも増えています。そして、日本が絡むと大体が2Dとなっています。中国の漫画がベースになっているものが多いです。

 

電子漫画市場規模推移と主要漫画配信サイト

 

ここ2年くらいで市場規模が急激に成長しています。漫画読者の規模は1億人くらいです。中国はインターネットで配信される電子漫画がメインとなっています。主要な漫画配信サイトは、「快看漫画」、「漫画島」、「有妖気」などがメジャーとなっています。このようなサイトは3年前くらいにできました。そしてここ2年くらいでようやく課金がきちんとできるようになりました。
漫画を投稿して人気クリエイターが生まれて、それをベースにアニメ化するという日本に似た流れもできつつあります。
漫画プラットフォームもきちんとクリエイターを囲いこんでいこうと、「テンセント」を筆頭に漫画家さんを囲い込んできちんと給料を払う、日本の出版社のモデルのような動きも普及してきています。
これから漫画のクリエイターはどんどん出てくるでしょう。そして漫画家さんを成長させるためのコンテストもここ最近行われています。集英社さんは古くから行っていましたが、中国の漫画会社もここ1、2年くらいでいくつか出てきました。
そして、私たち「JC FORWARD」でも先月から『シティハンター』の北條先生、『北斗の拳』の原先生や『週刊少年ジャンプ』の編集長だった堀江さんと、セリフのないサイレント漫画のオーディションを開始しました。このように中国のクリエイターを集めて育てる動きが出て来ています。

 

テンセント 何 子芸 氏
「テンセント」社とは

 

何 子芸氏(以下、何) 私は「テンセントアニメ」の責任者を務めている何子芸と申します。中国ではコリーと呼ばれています。日本のこのような会議の席で「テンセント」の説明ができる機会をいただきまして本日は「テンセント」を代表して御礼いたします。大変ありがとうございます。「テンセントアニメ」は「テンセント」の中の一部門です。「テンセント」は「QQ」,「WeChat」をはじめアニメ、ゲーム全てのサービスを中国で展開しています。今日ここで皆さんにお話ししたいことは3つあります。その1つ目は「テンセントアニメ」についてです。そして、2つ目は人気のアニメ、そして3つ目がビジネスモデルについてです。

 

「テンセントアニメ」紹介

 

まず、「テンセントアニメ」がどのように発展してきたのかを説明します。「テンセントアニメ」を始めて6年、PCから始まり、そしてアプリを作りました。今は、携帯でもパソコンでも見ることができます。パソコンでの閲覧者数は全体の3分の1になっています。2015年の年末にはDAU(Daily Active Users)が100万人を超えました。「テンセント」の中では100万DAUは多いほうではありませんが、中国の漫画の中では非常に大きな数字です。ユーザー数は月間1.2億人で、中国のネットアニメでは最大のプラットフォームと言ってもいいと思います。

ユーザー数は、「テンセント」の中での利用者が月間1億2千万人います。「テンセント」には、アプリ、PCなどたくさんのリソースがあるので、それを横串で展開しています。「QQ」、「WeChat」の中でも漫画を見られるなど、「テンセント」のすべてのリソースを使って漫画を拡大することに力を入れているところです。

国内には非常に有名な漫画家さんがたくさんいます。日本の皆さんはよくご存じではないかもしれませんが、素晴らしい人ばかりです。
そして彼ら自身もたくさんのユーザーを抱えています。私たちの初期の作品を昨年集計してみましたところ、「百度」の漫画ランキングで入賞した10作品中、8作品が私たちの作品でした。そのうち、閲覧回数が10億越えしたものが50作品、1億越えしたものが400作品ありました。
先ほど分部さんがおっしゃっていましたが、これが中国市場の力です。

「テンセントアニメ」では6年間で40作品をアニメ化してきました。シリーズ5まで創られている作品もあります。
『ゾンビブラザーズ』という2年前の作品は40億の再生回数がありました。別の作品では30億の再生回数のものもあります。また、中国版の火影忍者(『NARUTO-ナルト-』)『一人の下』という作品も非常に有名で、コンテンツの基準も日本に近づいてきています。また、たくさんのコンテンツを日本や韓国などの海外と協力して創ったりもしています。現在、中国のコンテンツは非常に多岐にわたってきています。

 

95年以降生まれの人のプラットフォーム

 

「テンセントアニメ」のメインユーザーは95年生まれ以降の12歳から22歳くらいの人です。中学生、高校生、大学生、そして社会人1、2年の人たちが、コアのユーザーとなっています。
私はインターネット業界で20年仕事をしていますが、中国のインターネット業界に最も影響を与えた人たちは95年生まれだと思います。中学生・高校生の頃にネットで小説や漫画を見た人たちがIPで消費をしてくれていると思います。中国では二次元の消費というものがなかなか難しく、日本ではできていることでも、中国ではできないことがまだまだあります。
しかし『一人之下』という作品はいろいろな提携ができていて、この作品がアニメ化されるととても人気になりました。この先3年から5年にかけてこの動きはもっと大きくなると思います。私たちの社内のリソースと抱えているたくさんのユーザーは、最強の資源だと言えます。

 

中国IP作品紹介

 

作品を3つ紹介したいと思います。『狐妖子紅娘(縁結びの妖子ちゃん)』
これは、ラブストーリ―、純愛ものです。純粋な恋愛を求める若者に、妖精が純粋な恋や愛を教えていきます。そして中国の縁結びの役割を果たす人が出てきて、これも非常に面白いと支持を集めています。国産漫画では第一位で、さまざまなアニメ展示会でコスプレをされています。漫画クリック数は120億を超えていて、国産漫画のアカデミー賞に相当する金龍賞という賞を受賞しています。また、中国のニコニコ動画のようなビリビリ動画では、クリック数が1億を突破する国産アニメとなっています。ビリビリ動画で1億を突破することは、なかなかないことです。2017年で一番うけた女性キャラクターといえます。また、30億回ネットで再生されました。『一人之下』
これも人気作品で道教文化が含まれています。
先ほどのお話にもありましたが中国の作品は、中国の数千年の長い歴史を含んでいる作品が多いです。このような作品から2000年生まれ以降の人々が文化を吸収していきます。
内容は、特別な気の能力を持つ人が出てきます。この非常に強い能力を持ったキャラクターが青少年に人気です。
また、いろいろな地方の方言を使っています。これは、日本のアニメにはなかなかないと思いますが、中国のユーザーにはとてもうけています。
漫画クリック数は131億を超えて、4年経っている作品ですがアニメ化もされました、今年は実写化もされて第3クオーターのゴールデンタイムに放送されます。スマホゲームも作られています。『替え玉の嫁入り』
この作品はホットなユーザーがいるわけではありませんが、特殊な設定のものです。
ネット小説をもとに作ったもので南派三淑という人がプロデューサーをしています。伝統的な文化の創作者が既に二次元の漫画の重要性を意識しているということが言えます。
そして、小説の作家が漫画化されることを望んでいるということも言えます。人気作家が新しいものを書き、そしてこれがドラマ、漫画になり、新たな数字も取れる流れになっています。

 

ビジネスモデル

 

私たちは中国最大のアニメプラットフォームとして、ビジネスモデルも多く立ち上げて、より多くのオリジナル作品を作ってほしいと思っています。国内の作家にも、日本など海外の作家にも「テンセントアニメ」に参加してほしいと思っています。ユーザーにとってみれば、国内の市場は日本とは違っています。先ほどのお話でもありましたが、ここ10年でアニメを買い始め、ここ3年で作るようになってきました。
「テンセントアニメ」は版権を尊重すべきプラットフォームであるべきだという考えでシステムが作られています。今、800作品以上のアニメ化が配信されていて、有料のコンテンツでは100億人民元を稼いでいます。このような有料課金モデルが国内でできたのは素晴らしいことだと思います。漫画を読んでもらうということで、作者に還元できるようにしています。
IPとして商業化をして、より多くの作者が育ってほしいと思っています。そしてその結果、多くの商業的な発展と成功を収めてほしいと思っています。
日本ではライセンスのシステムが整っているので、中国でも同様にシステムを整えて、マーチャンダイズにも向けていきたいと思っています。
IPの広告タイアップをし、有料漫画を作るということ、そしてコラボをし、マーチャンダイジングにつなげるということ、実写化、ゲーム化をすることが一つのネットワークの中で作られていくことを目指しています。

 

IPマネージャー体制

 

先ほどのリソースの他にも、IPマネージャー体制を創ろうとしています。これは、韓国のSMグループのビジネスモデルに習っているものです。
良い作品は良い形でパッケージ化して商品化していく必要があります。そして今はネットの時代なので、5年10年作品がIP化されるのを待っている時間はありません。
スターをよりスピードアップして育てていきたいと思います。「テンセント」のリソースを使って、ゲームやドラマも含む形で作っていきます。外部との協力も行い、より良いビジネスチームでより良い結果を生み出せるように考えております。『狐妖子紅娘(縁結びの妖子ちゃん)』の例をあげたいと思います。
2013年10月に漫画が配信され、2015年6月にアニメシリーズが配信され、2016年10月にビリビリでプロモーションをかけてアニメの女性キャラクター第一位となりました。
そして、その後、ゲームが開発されて2017年3月に人気ゲームとのコラボを発表しました。2017年4月には映画会社と提携して実写版も発表されて、2017年7月には日本のテレビ「TOKYO MX」で放送されています。また、今年の1月にはファミリーマート2,300店とのコラボを行いバレンタインデー向けのグッズなどを発売しました。また、ペプシコーラとのパッケージ協力も行いました。そしてARのゲームも立ち上げています。
1つの作品をどのようにサポートしていくかを考え、IPとして運営していくのがIPマネージャー体制です。
私たちもより良いビジネスモデルはないかを追及しています。日本でも製作委員会を立ち上げているように、日本のようなビジネスモデル、業種のモデルを使って開発をしていきたいと思います。また多くの人々から投資が得られること、海外からの参加も期待しています。

 

海外発行

 

海外でのリリースはまだまだできていない状況で始まったばかりなので、まずは国内でのリリース体制をきちんと整えたいと思っています。
そして、今、一帯一路のプロジェクトがあり、日本、韓国その他の国への進出も考えています。また、中国系の華人を対象としたビジネスも考えています。『NARUTO』のような、素晴らしい作品を作っていきたいと思っています。

 

パネルディスカッション

 

市井  パネルディスカッションに入る前に何さんのお話の中でわからないことがいくつかあったのでお話を伺わせてください。
今日来ている方でも、すでに中国でビジネスをされている人、いない人とかなりばらつきがあると思います。どの方を対象にして質問すればいいのかは難しいところですが、ベースのところを踏まえて質問させていただきます。初めのプラットフォームの説明の時に、国内有名漫画家が集まっているとおっしゃっていましたが、中国ではプラットフォームと漫画家が専属契約をしているのですか?

  プラットフォームには2種類の作家がいます。契約作家と契約せずにユーザーがアップロードをするタイプの2種類の作家です。契約作家は現在888人います。

市井  契約作家は自分たちの作品はそのプラットフォームでしか発表できないということですか?

  はい。契約作家は独占となっています。

市井  もう一つ、ビジネスモデルのところで、IP育成から作品への実現のところの説明がよくわからなかったのですが、もう少し説明してください。

分部  結果的には日本のモデルに近づいてきています。出版社というか・・・「漫画を創作する」、「漫画を配信・流通させていく」、そして、「出来上がったIPの活用を考える」この3段階になっています。今までの中国は、日本からIPを買ってきて、IPの活用だけをしていたのですが、最近はIPの源泉たる漫画を創る大切さを分かってきています。漫画が生まれるというところ。ここは特に「テンセント」さんからも説明があったように、クリエイターの育成という部分、クリエイターの保護、育成に力を入れていると思います。

市井  もうひとつ、IPマネージャー体制のところも少し補足してください。

分部  もともと中国は、ビックデータで人気作品の展開を決めていました。これは昔のやり方で時間もかかります。IPマネージャー体制を使えば展開のスピードアップができます。

市井  売れてから展開を考えるのではなくて、はじめからベースとなるIPの展開を同時に考えているということですね。

最後の海外発行という部分ももう少し教えてください。

  中国のコンテンツを海外に輸出したいと思っています。それも中国が進める一帯一路にも合致しているやり方です。ただ、この中国のコンテンツは海外ではそれほど人気がでないかもしれません。中国で人気のものが海外でも人気になるとは限らないからです。なので、英語版を開発するときに、海外向けに整えてから海外に出していく必要があります。
ただ、まだ実際に着手しているコンテンツはありません。

分部  ローカライズするということです。例えば、『一人之下』という作品は中国では大ヒットしたのですが、「TOKYO MX」さんで放送したら、中国ほどのヒットではありませんでした。それぞれの国に応じてその作品をきちっとローカライズしていかないといけない。それぞれのパートナーと組んでやっていこうとこういう発想です。

市井  分かりました。それでは、この流れの中でパネルディスカッションの1番目の課題に入ります。IPをベースにして、日本から売るだけでなく一緒に創るということも含めて今まで以上に複雑な取引も出てくると思うので、その点に関する注意点を教えてください。

 

中国展開時によくあるトラブルと対処法

 

分部  私たちは、日中間のIPの取引をよくさせていただいていますが、今は黎明期ですね。市場がこれから出来上がろうとしているところです。なので、トラブルも絶え間なくあります。
トラブルの要因を私なりにいくつかまとめてみました。

<日本人と中国人の考え方の違い>

まずは、日本人と中国人の考え方の違いです。日本人は細かい国民性です。計画的に進行しようとしますが、中国はここ30年で急激に発展してきましたし、IP取引もここ数年で爆発しているので、とにかく日々変化が大きいです。
日本人のように細かく「1年後どうする」などと決めていくことに中国人は慣れていません。ここでのぶつかり合いは結構多いです。
中国の場合は、先々細かく決めるのは苦手ですが、日本人は慣れているので、そこの中間を相互に尊重していくことが重要かと思います。
また、考え方の違いでよくトラブルになっているのが権利についてです。中国では権利を買ったら、その権利の展開は自分たちで自由にやっていいと考える傾向があります。日本だったら実写化したり、ドラマ化したり商品化したりするときにも先生の監修が入ります。しかし、中国の人はそのやり方には慣れておらず、買ってきたIPを中国にローカライズして、どんどん料理をしていくことがあります。どちらがいいというわけではありませんが、その傾向があるということをお互いが知る必要があります。
中国市場は今、どんどん爆発していています。「テンセント」さんのように中国市場を理解している人たちに、思い切ってもう少し自由にライセンスをしていったほうがうまくいくのではないかという場面を結構見ています。

  少し誤解されている部分があるかもしれません。
2つの国のアニメの発展の程度が違うという部分に関しては、日本のアニメは歴史が数十年ありあすが、中国は5、6年しかありません。
原作を尊重しないということや知名度にこだわらないということもあるかもしれません。もう一つ、2つの国の政府の政策が違います。日本政府はアニメに対する規制は緩いと思いますが、中国は厳しいです。
この政策が分からずに模索していくのは時間の無駄になります。というのは、したいことがどうしてもできないことがあるからです。
しかしこの状況が分からなければ、コミュニケーションをとっていても堂々巡りになってしまうことがあります。そして、2日3日で話をまとめようとしても1週間2週間かかってしまうこともあります。どのようにしてアニメを作るか話し合っても解決できず、できないという結果になることもあります。今は非常に特殊な時期ではあると思いますが、中国は最終的には日本と同じようになるかもしれません。海賊版がなくなったのと同じ流れです。

<産業構造の違い>

市井  産業構造の違いについて分部さんからお願いします。

分部  日中間のすれ違いで2番目に多いこととしては、コンテンツビジネス構造の違いもあります。
中国は配信が強いですが、日本ではテレビがまだまだ強いと思います。中国もテレビはありますが、海外アニメはほとんど流れないので、結局インターネットがビジネスの中心となっています。
何さんも言っていましたが、アニメの検閲や配給制限が中国は厳しいです。これは日本にはない概念です。そもそものビジネスモデルや前提となっている法制度が違うので、この部分からのすれ違いも多くあります。両国の制度やビジネスモデルをしっかり理解しながら対応していくことが重要だと思います。
日本のアニメ制作は、製作委員会を組成してやっていきます。
中国でも一つのIPをいろいろなプロフェッショナルが集まって展開していく流れが出てきています。製作委員会ではないですが、それぞれのエキスパタイズを分担して、時にはファイナンスも分担して展開をしていくという流れが中国でも必要性に駆られて出てきているという流れもあります。
現状では、日本の製作委員会の意思決定が遅いという印象が持たれています。中国は非常に動きが早いのと、権利関係も明確です。権利の共有のようなものは今はされていないので、権利の所在も明確で速度も速い。ところが日本の場合には、製作委員会ベースで所在が共有になっているので、意思決定が遅くなってしまうことがストレスの原因になっています。
今後は中国の企業が製作委員会に入っていって、日本流の製作委員会ではなく進化させていくと、中国に向けてコンテンツを発信するときにやりやすくなると思います。

市井  製作委員会だからスピードが遅いというお話がありましたが、先ほどの何さんのお話だと中国も日本の製作委員会方式に近いような形になっていくとのことで、そうなるとスピードは遅くなっていくのでしょうか?

  製作委員会のようなものは出てくるとは思いますが、IPの共同開発の委員会のようなものです。これは事前にIPに関連する仕事に関して分担しておくということ、利益も関連させて、展開のスピードアップをするということです。
なぜスピードアップするかと言いますと、私たちが扱っている部門が全てインターネットの会社だからです。日本では全てインターネットの会社ではないと思います。また、マーチャンダイズに関してもその点が違ってくると思います。

市井  それでは次に行きます。

先ほどもちらっとありましたが、中国の規制問題によってビジネスに与える影響を教えてください。

 

中国規制問題によってビジネスに与える影響

 

分部  先ほど検閲の話をしました。中国では海外のアニメを映画で流したり、テレビで流したりするのは、非常に厳格な検閲の手続きがあります。
検閲とは中国の政府当局、国家公電総局が、内容を事前に確認して、暴力的ではないかエロチックではないかグロテスクではないか、ホラーじゃないか宗教的ではないかという観点から見ていきます。しかし、現状インターネットで流すアニメについては、事前の検閲手続きはありません。
「テンセント」さんや「IQIYI」さん、それぞれの動画プラットフォームが自主検閲をサイトの判断でしています。ただ今年から、制度を改正しようという動きがあります。インターネット上で配信するアニメーションに関しても事前に公電総局の検閲を受けなければいけないという法制度の改正がなされようとしています。今年中には改正される確率が高いです。皆様の仕事にも影響が出ているかもしれませんが、動画配信サイトもこの政策が出るまで、日本のアニメを買うのを待っている動きがあったりします。この動きがいいのか悪いのかと言えば、文化部のブラックリストがあります。現状インターネットの配信アニメは、事前の検閲はしていないのですが、流れた後に文化部がこの内容はダメだと言ってきたりします。実際にリストを作って公表するので、ブラックリストと言えばブラックリストなのですが、文化部が事後的に見て突然ダメだと言ってきたものであったりします。なので、各動画サイトがいいと思って配信しても文化部がダメだと言う場合もあるのでビジネスとしては、現状は不安定です。「テンセント」や「IQIYI」がお金を出して買っているのに突然ダメと言われるのは困ります。事前審査は公電総局が事前にOKを出したということなのでビジネスの予測可能性は高まります。ビジネスの安定性が出てくるメリットはあると思います。何)2013年に中国で携帯ゲームが流行りはじめ、5年の間に7千億円市場になりました。最初の頃は、審査は必要ありませんでしたが、今は申請をして許可を取らないといけません。これは規模が大きくなったからだと思います。
同じ道理でアニメも規模がどんどん大きくなってきているので、国はアニメに関しても監視監督をしてくるのだと思います。

市井  将来政府が決めることなので誰も判らないと思いますが、規制があった場合の可能性を教えてください

分部  規制というよりも事前検閲制度ですから、インターネットのアニメーションも配信する前に公電総局の内容審査をうけないといけないと思います。
審査内容が大きく変わることはないと思います。今だって、暴力、エロ、グロ、宗教がだめだという基準があります。
ただ、審査の期間などは見ていかないといけないと思います。まだ審査のフロー等出てきていませんが、現在海外アニメ映画だとだいたい3~4か月検閲にかかっています。ゲームだったら、国産は1か月、海外のものは6か月かかっています。日本の純国産アニメは海外物なので、審査は長い傾向が予測されます。予測ベースですが、3~6か月になるかと思います。
ただ、中国企業が関わっていると、映画にしてもドラマにしても手続きが容易になる傾向があるので、アニメも共同制作の製作委員会に中国企業が入ってもらえれば、審査が短くなる可能性もあると予測しています。

 

今後の展望

 

市井  それでは最後に今後の展望をお願いします。日本の会社の皆さんへの期待も含めてお願いします。

  もう2~3年前から日本の企業と提携しています。「テンセント」も出版社から色々なIPを購入しています。
ずいぶん前から提携は始まっていて、いろいろな問題にもぶつかりました。
これを踏まえてみなさんとシェアしたいことは、今、中国の市場は皆さんがご存知の10年前や20年前とはずいぶん変わってきているということです。昔の中国アニメは、日本のコンテンツがほとんどでしたが、今は違います。
今中国は、千万億の規模になっております。もしこの市場に入るのであれば、中国に焦点を絞った制作をしていく必要があると思います。
海外市場の延長というような形でやっていくと、先ほど申し上げた考え方や政策の問題が出てくると思います。なので、中国市場について理解をする必要があると思います。中国市場はアメリカにも劣らない大きな市場だと思います。中国は世界最大のゲーム市場です。分部)まったく同意見です。とにかく中国のアニメやコンテンツ市場は世界で一番の市場になっていきます。
今まではコンテンツIPについては日本に強みがあって、日本のものを中国に売っていけばよかったのですが、これが、どんどんと変わってきています。
中国人の消費者には中国人が創ったほうが届きやすいのは事実ですので、日本がいかに中国の消費者の心に届くようなコンテンツを創って届けていけるかがポイントだと思います。まずは、中国に向けたコンテンツを創る場面から中国のことを考えていく。「テンセント」さんに製作委員会に加わってもらったり、中国の人と一緒に中国の市場を分析したりしながら制作していくことが大切になっていくと思います。

物を新しく創っていくことでは、日本のほうがまだ一日の長があります。中国は急激に発展してきたものの、海賊版がベースにあり、その後買ってくるようになり、創り始めてからの歴史はまだまだ短いです。
日本のクリエイターたちが真剣に中国市場を見ながら創ったら、中国市場で人気が出る作品を創ることができると私は思っています。日中共同の制作では、中国が育ってきている中、一緒になって創っていくということがあると思います。物を一緒に創るでもいいですし、原作の部分、そして私たちは最近よく実写化をしています。例えば、『ドラゴン桜』のIPを「アリババ」にライセンスしてドラマを作っています。「東京大学」を「北京大学」に置き換えるなど設定を変えています。中国では今ネタがないので、実写化のネタの問い合わせをうけたりしています。日本のアニメは実写化できる良いものが多くあるので、ネタを中国に持って行って、中国のドラマ制作で創ってもらって出していく等いろいろな形での合作、アニメを一緒に創るのもよし、ネタを出して実写版を創ってもらうのもよし、マーチャンダイズに関しては企画から入るのもよしと、一緒になって作って出していくことを意識していくことが必要かと思います。

市井  中国は日本にとって大切なマーケットであり、明らかに最近ステージが変わってきています。
そのステージが変わってきている中でも、我々日本人がいろいろな組み方で対応できればチャンスは大きくありますが、一方では今までの延長ではなかなか難しいということが、みなさまに伝わったのではないかと思います。

我々もJ-LOP後の新しい補助金が始まって、クリエイターをもっともっと支援するべきだという流れになっています。今回のプログラムが完全に皆様をサポートできているとは思いませんが、さらにいい形にしていきたいと思っています。私たちのセミナーなどを活用していただく中でいろいろな意見を言っていただいて我々自身もアニメが、中国そして海外に皆様が出ていくためのサポートを続けていきたいと思います。今日のセミナーが皆様にとってプラスになったことを期待いたしまして、終わりにさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

分部 悠介 Yusuke Wakebe
「JC FORWARD」、「Animation Forward」代表取締役社長・CEO
「IP FORWARD 法律特許事務所」代表弁護士・弁理士、日中専門エンターテイメントロイヤー
世界二次元産業連盟 日中コンテンツビジネス促進顧問
  • 東京大学在学中の1999年司法試験合格、2000年 同大学経済学部卒業。同年、(株)電通入社、映画・音楽・キャラクタービジネス等のコンテンツビジネス実務に関与。2003年 弁護士登録。同年、長島・大野・常松法律事務所に入所し、コンテンツビジネス業務、知財法務、中国投資法務に関与。
    06年から09年まで、経済産業省模倣品対策・通商室に出向し、初代模倣対策専門官弁護士として、中国、インド、東南アジア、中近東諸国の知的財産権法制度の調査・分析、関係各国政府との協議などを担当。09年に渡中後、日本企業の中国における知財保護・海賊版対策をサポートする「IP FORWARD」グループを創設。中国の知的財産保護強化の流れの中、2016年、日本コンテンツの中国展開支援を主業務とする「JC FORWARD」、日本の著名アニメ制作会社との合弁会社として、日中共同アニメ制作を主業務とする「Animation Forward」を設立。日中間の幅広いコンテンツビジネス分野において、攻めの面と守りの面の双方から多くのプロジェクトを手がける。

何 子芸 He Ziyi
テンセント アニメ・版権運営センター ゼネラルマネージャー
  • テンセントアニメ・版権運営センター総責任者で、同社IPビジネス全般を統括。
    中国インターネットビジネスに従事する20年間、「中国電信」、「ネットイース」、「サムソン」、「掌趣科技」、「奥飛」などの大手企業にて業務を展開。
    携わったプロジェクトも多数で、関わった代表的なIPは、「大话西游」、「KOF98」、「不良人」、「镇魂街」、「街头篮球」、「刺客信条」、「初音ミク」、「艦娘2」、「十万个冷笑话2」などがある。


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