インタビュー

2018.05.07


クランチロール、Right Stuf、Anime Centralが「日本アニメ」への期待と課題を語る
「AnimeJapan 2018 ビジネスエリア」会期中に東京ビッグサイトで行われた「『オンラインとリアル』北米アニメーション市場攻略法」セミナー。セミナーに参加された現地の事情に詳しい方々6名の内4名をお招きし、これから北米マーケットへ「日本アニメ」のコンテンツを的確に展開していくための攻略法に関してさまざまな角度から語っていただきました。インタビューではセミナーでは語りきれなかった内容についてお伺いしています。

(写真:左からVIPO市井、スチュウ・リービー氏、Kun Gao氏、Shawne Kleckner氏、Phillip Ward-Schmidt氏)

スチュウ・リービー氏[略歴
TOKYOPOP創立者、Producers Guild of America国際委員会長

Kun Gao氏[略歴
Co-Founder & GM, Crunchyroll

Shawne Kleckner氏[略歴
President and CEO, Right Stuf

Phillip Ward-Schmidt氏[略歴
Director of Exhibitions, Anime Central

(以下、敬称略)

ユーザー面、ビジネス面の両面から考えた北米市場における「日本アニメ」の今と未来

北米アニメーション市場の変化と日本のアニメーションに求められている課題について

アニメファンが幅広く成長している理由

 

VIPO専務理事 事務局長 市井三衛(以下、市井)  北米のアニメーションファンに、近年変化はありますか?

Right Stuf/Shawne Kleckner氏(以下、ショーン) アニメーションファンは幅広く拡大を続けています。新しいファンがいる一方で、私のように“オールドタイマー”という昔からアニメーションを見続けている人もいます。また最近では、若いころからずっとアニメーションを楽しんでいるファンが親になり、自分の子どもたちとお気に入りのアニメーションを共有するような変化が起きています。

スチュウ・リービー氏(以下、スチュウ)昔はあまり見られない光景でしたが、最近は子連れのアニメーションファンも多いですね。例えば、私のいとこ娘は親子でコンベンションに行っています。コスプレをしてコンベンションに行くようになりました。最近はそういう人が多くいます。

ショーン アメリカのアニメーションといえば、子ども向け番組やケーブルテレビ放送、夜に放送している『ザ・シンプソンズ』のようなコメディ番組という認識があります。

しかし、アニメーションは子ども向けの番組だけではありません。ディズニー、ピクサーなども小さな子どもだけではなく大人も視野に入れた作品を出してきています。アニメーション全体としては幅広いオーディエンスに向けて、コンテンツ自体が幅広い内容になってきています。例えば少女向けのものからヤングアダルト向けのものまでというように、今は幅広いジャンルがあります。

市井  ショーンさんのお話は世界的なアニメーションファンにも言えることだと思いますが、日本のアニメーション(以下、「日本アニメ」)に関して、ファンの変化はありますか?

ショーン 「日本アニメ」は35年~40年ほど前からたくさんの人に見られています。『鉄腕アトム』などの認知が高いものは、子どものころに見ていた大人から次の世代に伝えられています。


スチュウ 最近のアメリカのアニメーションの傾向として、「日本アニメ」の影響を受けて作った番組が人気になっています。内容は、『ザ・シンプソンズ』のような番組と子ども番組の間のティーン向けのジャンルや、バラエティです。『Bee and PuppyCat』のようなオリジナルアニメーションも制作されています。これらの特徴は制作者が若く、「日本アニメ」の影響を受けているということです。

このことを「日本アニメ」の関係者の方は意識したほうがいいと思います。

市井  約40年来、「日本アニメ」はたくさんの作品を出してきたので、ファンも幅広いということですが、アメリカで同様のファン層はいるのでしょうか? 今後、アメリカのアニメーションマーケットは、「日本アニメ」のマーケットとどのように関係していくと思いますか?


Crunchyroll/Kun Gao氏(以下、Kun)  Stuさんがおっしゃった通りだと思います。アメリカのクリエイターの中には『ドラゴンボール』などの「日本アニメ」と一緒に育ってきたような人たちがいて、インスピレーションを受けています。

アメリカのクリエイターが、なぜ『ドラゴンボール』など「日本アニメ」を見ていたかというと、アメリカには『ドラゴンボール』のような物語、キャラクター、アートワークのアニメーションがなかったからです。そういった「日本アニメ」に影響を受けてきたクリエイターたちは、実際に日本のクリエイターと協力して新しいものを作りたいと思っています。それも、グローバルなオーディエンスを対象に作っていきたいと考えています。

私たちCrunchyrollは、『Bee and PuppyCat』のように、海外のクリエイターが実際に日本のクリエイターと協力して日本のアニメーションスタジオが作った作品を配信しています。日本から影響を受けたたくさんのクリエイターと日本のスタジオを結びつけたりもしています。

市井  アメリカと日本のクリエイターがコラボレーションして、アメリカ人に合ったアニメーションを作ろうとしたときに起こり得る問題はどのようなことでしょうか?

Kun  そうですね。やはりコミュニケーションの壁は大きいです。ひとつ例をあげると、ポーター・ロビンソンというEDM(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)のアーティストがいます。彼はアニメーションが好きなミュージシャンなので、アニメーションを使ったMVを作りたいと考えていました。そこで、私たちがA-1 Pictures(エー・ワン・ピクチャーズ、日本のアニメ制作会社)と彼を繋げました。そしてアニメーションにインスピレーションをうけたMVを制作したのですがコミュニケーションが壁となり、実現させるのにとても苦労しました。結局、彼に1週間ほど日本に来てもらい、バイリンガルのプロデューサーと直接やり取りをしてもらい、大事なことはその期間内に全て終わらせました。

物理的に離れていることと英語でのコミュニケーションが課題としてあると思いますが、お互いに共同制作したいという情熱を持っていることは大きな利点だと思います。

それに、今、欧米のプロデューサーは「日本アニメ」について、以前と違ってよくわかってきていると思います。

 

アメリカにおけるオタク文化とアニメーションファンの新しいトレンド

オタク文化はポップカルチャーに

市井  アニメーションファンやOtakuへのとらえ方の変化はありますか? 特にOtakuはマジョリティになりつつあるのではないかという話もありますが、現実的にはいかがですか?

ショーン   過去10年におけるいわゆるギークカルチャーとは違ってきています。今のOtakuには特定のプロダクトやジャンルを求めている方たちが多く、以前ギークカルチャーの人が持たれていたようなネガティブなレッテルのようなものはないと思います。

例えば、コレクターをターゲットとした番組が大衆向けに放送されていたり、ハリウッドがサンディエゴのコミコン(コミック・コンベンション。マンガやアニメーション、映画などエンターテインメント、ポップカルチャー関連のイベント)でもかなり深く関与しているようなこともあります。かつてのネガティブな感情がなくなり、ギークカルチャーとポピュラーカルチャーがイコールになりつつあるということが言えると思います。

スチュウ  昔は日本のカルチャーが好きな人とアメリカのカルチャーが好きな人は別だったかもしれませんが、最近は混合していて、両方好きな人もコンベンションに来ています。『スター・ウォーズ』と『ONE PIECEを混ぜたコスプレをするような人が増えています。

 

コンテンツとマーチャンダイズの近年の変化

市井  ファンの傾向やトレンドの変化は見られますか?

Kun    ストリーミングサービスでは、より幅広いオーディエンスの方たちに受け入れられていると思います。

「日本アニメ」全般に言えることですが、西洋にはないコンテンツだと思います。素晴らしいストーリーやおもしろいストーリー、自分と関連性を見出すことができるようなキャラクターや自分の生活の中にでも起こりえるようなシチュエーション……そういったものは、アメリカの主要なメディアでは見つけることができません。

私たちのデータからも分かっているのですが、以前はアニメーション=Otakuと考えられていて、そこにはネガティブな要素がありました。しかし今ではそうではなく、よりオープンな考え方を持っていて、文化的にも感受性の高い方たちがアニメーションを見てくれているのです。

オーディエンス、視聴者も変わってきましたが、アニメーション自体も変わってきていると思います。20年前は、『ユーリ!!! on ICE』や 『僕だけがいない街』がうけることはありえなかったかと思います。今「日本アニメ」はグローバルでポピュラーになって来たので、バイオレンスやアクションがなくても人気を獲得できるようになりました。

スチュウ  ちなみにコミコンはドバイでも開催することになっています。『トール』『ストレンジャー・シングス』『ゲーム・オブ・スローンズ』『ワンパンマン』『ストリートファイター』『パワーレンジャー』など、映画、テレビ、SF、コレクターなどさまざまなものが網羅されています。それぞれの分野にはそれぞれのファンがいて、クロスオーバーが起きていると言えると思います。

ショーン  基本的なトレンドとしてここ3,4年でいえることは、高画質なコンテンツに対する需要が高まってきていることです。例えばDVDではそうではないですが、ブルーレイに関しては需要が伸びています。このことは、北米以外の市場でも同様ではないでしょうか? また、一般的にアニメーションファンはアーリーアダプターでもあるので、他のメディアの消費者よりも質に対する要求が高いとも言えます。

統計的には、以前は男性向けが多かったのですが、今は女性向けまたは男女で楽しめるものが増えていると思います。マンガ読者の構成比に関しても同様のことが起きていると思います。

 

オンラインでつながった人たちが、リアルな世界でつながる


Phillip Ward-Schmidt氏(以下、フィリップ)   デモグラフィーとしては、若い方たちが伸びていると言えると思います。そして自分の子どもたちにアニメーションを見せる親が増えています。過去20年のデータによれば、以前はコンベンションに来ていたけれど来なくなっていた方たちが、自分の子どもを連れて来てイベントを経験させるようになっています。

ライセンシングのスピードがより早くなることによって、以前はイベントでしか買えなかったような限定品が減ってきています。そういったことが理由となり、イベントは商品を売る場所というよりは、体験を売る場に変わってきています。

25歳くらいが一番多く、あとはオールドタイマーといわれる40歳から55歳の方たちも増えています。さらに私たちの統計データを解析してみると、子どもが親の関心を引きつける役割をしていて、20代30代だけでなく、彼らの親も主流化するようになっているのです。

市井  北米のイベントを見たときに、それぞれの地域の特色などはありますか?

フィリップ 雰囲気が違いますね。南部のイベントはリラックスしていて、20分遅延してもOKですが、北東や西海岸、シカゴは時間にとても几帳面です。

ショーン  アニメセントラルの場合はロック系やビジュアル系のコンサートがあります。そういった違いもあると思います。

スチュウ  私が今まで世界中のいろいろなコンベンションに行って感じたことは、小さな違いはあってもコンテンツに関しては一貫性があり、よく似ているということです。

ショーン  主催者、プレゼンの方法、ファンとゲストのコミュニケーション方法で違いを感じることがあります。また、地域によってはファンの層が薄く、小さめのイベントになってしまうこともあります。しかし、そうはいってもみんなが情熱を持っていることには変わりありません。

スチュウ  違いはあっても、共通する点があるからこそ、人々は結びついていると思います。カリスマ性や勢いやバイブスがいろいろな人と共鳴をしてグローバルになっています。それだけではなく、コンベンションの規模が拡大するにあたって、ソーシャルメディアも伸びてきています。そこで、パッションを持った人たちがお互いいろいろなことを共有することができるからこそ伸びてきているのだと思います。

私が来日した頃、外国人は少数でしたが、今ではマンガにインスピレーションをうけた外国人がたくさん日本に住んでいます。来日したことがない外国人でも日本語がうまい人がいるということは、すごいことだと思います。

今ではアニメーションはカルチャーの一部として受け入れられています。そしてコンベンションは、自分と同じ趣味や関心を持っている人たちといろいろ共有することができる、安全な場所として認知されていると言えます。オンラインでつながった人たちが、物理的にリアルな世界でつながりたいということが起きているのです。意識的に行われていたかは分かりませんが、『鉄腕アトム』や『マッハGoGoGo』(米国名『Speed Racer』)のような昔の作品でも世界で受け入れられているものもあります。

 

北米に学ぶボランティアでのイベント運営

市井  「アニメセントラル」や「オタコン」はボランティアで運営しているそうですが、なぜ、ボランティアで続いているのでしょうか?

フィリップ  ロイヤリティ(愛着心・忠誠心)がカギになっていると思います。自分が持っている“好き”という感情を共有したいという気持ちです。私自身12年間「アニメセントラル」に関わってきましたが、最近「アニメセントラル」に入ってきた人もいます。ボランティアの中には辞める人も残る人もいますが、長年同じポジションの人もいます。

市井  何人かの方はフルタイムで働いていて、何人かがボランティアなら理解できるのですが、フルタイムの方は本当にいないのですか?

フィリップ  他の団体では1人か2人がフルタイムで関わっている団体もあるようですが、私たちアニメセントラルは、教育のために非営利でやっているということもあり、役員から新人まで誰もがボランティアです。技術や照明、弁護士に対してはお金を払うこともありますが、それ以外は100%ボランティアで運営しています。私たちは好きだからやっているのです。中には一定の責任をもって任務にあたっている人たちもいます。未経験の人たちを集めてイベントをしているわけではありません。

市井  それは、アメリカのカルチャーなのですか? ほかの国はどのように運営しているのでしょうか?

ショーン  私自身、海外の組織運営について100%分かっているわけではありませんが、他の国とアメリカに違いはないと思います。情熱をもってやりたい人たちが集まればできると思います。

Kun  私たちは他の仕事をしていたときにクランチロールを始めました。現在はボランティアではありませんが、自分たちでこのクランチロールという仕事を創り出しました。分野は違いますが、Linuxは30年から40年たった今でも、ボランティアで運営されている世界で最も安定したオープンソースのOSですよね。

コンベンションの場合は、規模が大きくなるにつれて、運営にはある程度のプロフェッショナルの技術を持った人材が必要となると思います。100人以上のボランティアがいる場合は、管理が難しいと思います。セキュリティ、爆破予告、金属探知機、事前チケットの販売などに関しても考えなければなりません。

例えば「アニメエクスポ」のようにファン自身が開催していたイベントが、ビジネスに変わっていくこともあります。彼らは今でも非営利で運営しつつ、たくさんのフルタイムの人材を雇っています。

 

ビジネス的に見た成長率とこれからの北米における「日本アニメ」市場

増加する北米アニメーションファンのために日本ができること

市井   今後のアニメーションビジネスの成長性はいかがですか? アニメーションファンは増えていますか?

Kun  状況は良いと思います。潜在的なファンの方たちもたくさんいます。また、アメリカだけではなく、世界中の人たちがアニメーションに対して関心を持っていると思います。しかし、課題もあります。アニメーションを制作する人材を育てることは簡単ではないということです。

ショーン  このジャンルに関心を持つ方たちは増えていると思います。プロダクトも含めて成長の余地がまだまだあると思っています。

最大の課題はマーチャンダイズ(商品化)に対するサポートだと思います。商品が売り切れてしまったり、商品があってもタイミングがずれたりすることがあります。この課題をクリアできれば、より成長の基盤を確固たるものにできると思います。

市井   なぜタイムラグが起きているのですか?

ショーン  日本で商品が発売する時点で、すでにある程度の時間が過ぎています。「日本アニメ」が同日放映された後に、アメリカの市場で商品が売られるまでの間には、配送時間以外にもライセンシングや製作に時間がかかっているという問題があります。

市井  「アニメセントラル」の視点からは何かありますか?

フィリップ  見通しは良いと思います。リピーター以外の来場者もいますし、主流のイベントになっていると思います。

 

人材育成、コミュニケーション、ライセンシング……日本のアニメ業界の課題

市井    日本のアニメ業界への要望はありますか?

Kun  クリエイターの人材が不足しているのが課題だと思います。彼らを育成するには時間がかかります。今では、クランチロールやネットフリックス、中国の会社などが独自のプログラムを求めています。資本が多くの制作会社に流れていても、優秀な人材は一定数しかいませんから、人材育成の取り組みが必要だと思います。

技術は改善していけても、描き方やアートスタイルは変わっていかないと思います。日本のアニメーション業界は、人材が不足していることに気が付いていないのではないかと懸念しています。

今、多くの制作会社が利益を上げていますが、その利益がアニメーターやクリエイターに流れているとは言えません。給与が低いという問題が、この業界に入りたいという方たちのインセンティブになっていないと思います。

ショーン  コミュニケーションが、プロジェクトを持つたくさんの人たちの課題だと思います。

まず1つ目は、外国側が何かしようとすると必ず承認が必要となってしまいます。これが遅れにつながっていると思います。何かしようと思って、日本の制作委員会にお話をするときには、すでにチャンスが消えている……機会損失がかなり大きいと思います。

以前であれば、外国のパートナーがある程度自由にできたことが、今ではできなくなっています。かなり厳しく管理されるようになってきました。

今では字幕など含めて全て承認を要請する必要があります。20年前であれば、パートナーとして信頼されていたので日常的に監視・監督される必要はありませんでした。もちろん理由があることはわかっているのですが、これが大きな機会損失になっています。

2つ目はブランド管理に関するものです。一極集中でブランド管理が行われていて、自由度が減ってきていると思います。

フィリップ  同様の話になりますが、マーケットに対して商品を投入するスピードを加速化してほしいです。コンベンション側にもそれは大きな助けとなります。スピード化することによって、海賊版が入る余地がなくなります。単に公式の商品からお金を儲けることができるだけでなく、海賊版を駆逐できると思います。そうすれば、イベント側としても体験に集中することができるようになります。

市井  「アニメセントラル」には日本からの事業者は参加していますか? そこで、彼らはきちんとアクティビティをしていますか?

フィリップ  年にもよりますが、期待しているほどは参加していないと思います。日本からもっと来ていただけるといいですね。

スチュウ  VIPOが団体を支援して、業界から何人か「アニメセントラル」に行かせるなどとはいかがでしょうか?

市井  「アニメセントラル」がどのようなイベントかを理解してもらう機会が必要かもしれませんね。VIPOでは、年に2回ほど「海外イベント合同説明会」を行っています。まだ、「アニメセントラル」の説明会をしていませんね。次回はぜひお願いします。

ショーン  教育という点に関しても、VIPOさんには大きなチャンスがあると思います。

日本のアニメーション業界は日本の消費者向けに制作することに100%集中していて、海外マーケットはあまり視野に入っていないように思います。制作の初期段階からグローバルマーケットをターゲットに据えていくように教育していくのです。

アメリカ、ドイツ、オーストラリア、それぞれマーケティング、ローカライゼーション、リリースの方法は違います。はじめから国内の消費者だけをターゲットとしていると、今後の制約になってしまいます。

市井   作品は日本向けでも、ビジネスは世界的に考えるべきだということですね? 作品は日本向けでもいいということですよね?

ショーン  好きな作品を好きなようにターゲットに寄り添って作ればいいと思います。もし、世界中の人たちに向けた作品を作ることがゴールであれば、今のコンテンツの内容によってはアジア以外ではうけないものや、特定のマーケットにしか受け入れられないようなものもあると思います。ですから計画の段階からしっかりとコミュニケーションをとっていくことは大切だと思います。

世界中で売りたいと考えているにもかかわらず、日本という枠の中だけで考えてはダメだと思うのです。

コンテンツそのものを変えることを望んでいるのではなく、日本のコンテンツを海外に売り出すときには、海外のオペレーションにそれなりに時間がかかることを前もって理解して、きちんと協力しあっていくべきであると。どのような作品があるのかを事前に説明して、マーケティングプランをきちんと作れるようにしていくべきだと思います。

コンテンツを世界に売ろうとしているのであれば、あくまでもオペレーションの部分を世界で売れるように協力していくべきではないかと思います。

 

「日本アニメ」の抱えるリスク

スチュウ  日本のコンテンツ自体の話ですが、実は1点、とてもずれていると感じている部分があります。それは女性に対する態度です。コンテンツの中でも女性を尊敬しない場面が「日本アニメ」では多いと感じます。これまでは「日本アニメ」を好きなファンが多かったのでそこも許されてきました。しかしアメリカの文化として、社会的に女性をもっと尊敬するというトレンドが加速しているので、このギャップが「日本アニメ」の評判を落とす可能性になり得ると思います。

文化の違いがあるのは事実ですが、今後、欧米で売っていくためには、意識しないと痛い目に合うこともあると思います。

市井   このような話は、クランチロールさんではかなり話されているのではないのですか?

Kun  もちろん話しています。実は昨年ライセンスしなかった作品が1作品あります。ドイツで実際に配信を禁止されてしまいました。

今は男性のディレクターやプロデューサーが多いですが、今後女性だけでなく他のマイノリティの方が制作に携わる機会が増えれば状況が変わってくると思います。日本以外のマーケットでどのような需要があるのかを知っておくことも大切です。

 

日本のクリエイターやアニメ会社の方たちに伝えたいこと

Kun  アメリカのオーディエンスは、アメリカで見ているものとは違う独自のユニークなものを求めていると思います。「日本アニメ」はまさにそうでした。ただ、今と同じものを作っているのではだめだと思います。ユニークで興味深い、魅力的なキャラクターやストーリーラインを作って欲しいです。

ショーン  高品質な商品を今後も出し続けてほしいと思います。私たちはRight Stufは、世界中の方たちに「日本アニメ」をプロモーションしていくのが目標です。手続きを合理化していただいて、タイミングよく、同時に迅速に効率的に周辺商品を出せるようにしていただければと思います。

フィリップ  2人と同じです。コンテンツとマーチャンダイズ(キャラクター・関連グッズ等)が視聴者をつなぎとめて、私たちのイベントの参加者になっていくと思います。そして、エンゲージメント(顧客との結びつきを強めること)にもつながると思います。

スチュウ 世界はだんだんと分権化が進んでいて、技術、情報が増えていくにあたり、この傾向はどんどん進んで行くと思います。私見ですが、日本企業が今後成功していくためには、少しリラックスして、自分で選んだパートナーをもっと信頼することが必要ではないかと思います。

例えば、アメリカのトヨタのディーラーの中には日本とは全く違った価格で売っているディーラーもいます。このようにローカルの方たちにその地域で一番合った形でやってもらう。コントロールが全てに対する答えではなく、もっと私たちを信用してほしいと思います。

 

スチュウ・リービー Stu LEVY
TOKYOPOP創立者、Producers Guild of America国際委員会長
Stu Levy is an international entrepreneur, producer, director and writer. Founder of the pioneering media company TOKYOPOP, Stu is known for establishing the manga market in North America. Stu has produced English adaptations of many anime series including the hits Initial D, GTO, and Rave Master; executive produced the live-action feature film Priest; directed two independent feature films, a docu-reality series, and several music videos. Stu created and wrote the chart-topping graphic novel Princess Ai with Courtney Love, as well as the novels Juror 13, Karma Club and Sailor Moon, and is currently writing Nightmare Before Christmas: Zero’s Journey. He founded digital platform POP Comics and is currently involved in a major crypto/blockchain project. Fluent in Japanese and a licensed California attorney, Stu has served as Producers Guild of America (PGA) Board Member; International Committee Chair and founder; Online Video Committee Chair and founder, and PGA Producers Showcase executive producer. His philanthropic activities have included Japans tsunami recovery, projects with Make-a-Wish Foundation, and literacy advocacy. Besides speaking at numerous industry events and guest lecturing, Stus an avid endurance athlete, an amateur composer, photographer and self-confessed foodie.

 

Kun Gao
Co-Founder & GM, Crunchyroll
Kun is Co-Founder and General Manager of Crunchyroll, the world’s largest destination for anime and manga, with more than 35 million registered users and over 1 million subscribers. As GM of Crunchyroll, Kun spearheads international content licensing, product, operation, monetization, marketing, and brand. 

He brings 15 years of experience with consumer facing websites, including founding Frappr.com (acquired by Slide), and joining HOTorNOT. Kun graduated from U.C. Berkeley with honors B.S. in Electrical Engineer and Computer Science and B.A. in Applied Mathematics in 2004, and was a PhD candidate in Computer Science at Carnegie Mellon focusing on Database research.

 

Shawne Kleckner
President and CEO, Right Stuf
Right Stuf is North America’s largest specialty anime distributor, primarily selling through e-commerce at rightstufanime.com. The company also operates a publishing and licensing division under its Nozomi Entertainment label, and provides marketing and fulfillment support for other organizations and licensees within the market. Right Stuf celebrated 30 years of business in 2017.

Shawne Kleckner is one of the founders of the firm, and holds a Bachelor’s Degree in Computer Engineering from Iowa State University. He is a prior recipient of the ACE North American Entrepreneur of the Year award, an Inc. 500 member, and has been featured in USA Today, Wall Street Journal, and Inc. Magazine articles on entrepreneurship. Concurrent with his efforts at Right Stuf, Kleckner previously served as Vice President/CFO of Century Software Ltd. and Senior Vice President of Intersphere Lasergames. Kleckner currently is a member of the board of directors of Trinlogix, LLC, a software company specializing in three dimensional modeling of financial and other data for analysis, and is President of The Des Moines Zen Center, a Soto Zen Buddhist organization. He also serves as an advisor for Anime News Network. Outside of work, Shawne is active in community causes for mental health and the environment.

 

Phillip Ward-Schmidt
Director of Exhibitions, Anime Central 
Phillip Ward-Schmidt is the Director of Exhibitions at Anime Central / MAPS. He oversees matters involving exhibitions, venue negotiations, third party service acquisitions, future planning, and operational impacts of event modifications. He has been a member of the organization for over a decade working to enhance and provide interactive experiences between attendees and industry partners, and cement the anime industry’s footprint in the American Midwest.

 


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