VIPO

インタビュー

2017.01.10


コンテンツ業界に更なる利益をもたらす会計知識
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コンテンツ業界に特化したオリジナルプログラムで、会計知識が学べる「ファイナンス・エッセンシャルコース」の講師・監修をしている世界4大会計事務所系コンサルティングファームの1つ「KPMGコンサルティング株式会社」のお二人に、会計知識の必要性やメリットについてVIPO事務局長・市井がインタビューしました。

(以下、敬称略)

専門家に聞く、プロジェクト管理者に必要な会計知識とは

最終的に数字で評価される


市井)本日は「VIPOアカデミー ファイナンス・エッセンシャルコース」で講師・監修をされているお二人に話を伺います。山田さんは公認会計士の資格を持ちつつ、経理・経営企画領域を中心に15年以上コンサルティングをされています。また、東海林さんはコンテンツ業界を10年以上担当し、業務改革や新事業立案などのプロジェクト支援をされています。

他の業界と比較して、コンテンツ業界の会計に対する意識はどうでしょうか?

東海林)日本のコンテンツ業界は儲けることに関して、世界的に見ても’奥ゆかしい’と思います。いいものを作ろうという意識があっても、一度作ったコンテンツでどれだけ利益を回収できるかなど、もっと貪欲で良いですよね。そのためにも、会計の知識を学んだ上で利益を出す戦略や契約を進めてほしいです。

コンテンツ業界は大きな当たりがあると一気に利益が出るので、現場の方はそれ狙いでビジネスをやってきた背景があると思います。大きく当てるためにはどうしたら良いか、どうお金を使うかを、細かい日々の管理より、感覚に頼る傾向にあると思います。

山田)コンテンツ業界は、数字に対する緩さは若干あるかもしれません。他の業界ですと、各部門で1年単位の会計計画・目標を立てています。製造業などは管理する単位を細かくしたり、利益の責任を決めているところが多いです。

一方、それぞれプロジェクトに出資をしている経営者は、他の業界と同様、出資した分に対してどれだけ成果があったのかで評価していると思います。

 

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経営者の視点を理解する

市井)コンテンツ業界は経営者目線で考えられている人がまだ少ないと感じますか?

東海林)日本の会社は、人材教育として様々な部門にローテーションで配置されることもあると思いますが、部門に入って初めてその立場が分かったという人も沢山います。

山田)経営者が数字で評価していることを考えると、プロジェクトを進行する際の一つの視点として会計を考えてくれたらいいなと思います。相手の立場に立って考えるということです。

東海林)何が利益なのかをしっかり考えられればいいと思います。(1)現場の人が思っている利益、(2)経営者から求められている利益、(3)対外的に発表されている利益、の3つがあるということを認識しておいてほしいです。

東海林)利益を積み重ねることで、新たなコンテンツを生み出す投資をすることができます。

 

 

 

成果を長期的に見ることでクリエイティブと両立


市井)コンテンツ業界にいて難しいと思うのが、数字を考えてしまうと、クリエイティブがこじんまりとしてしまうのではないかという部分です。あまり数字のことは言わずに、とにかくいいものを作ろうと考えている人も多いと思います。そこに関してはどうですか?

山田)そこは一般的な製造業の研究開発部門と同じ考え方だと思います。会社の長期的な利益を考えて、目先の利益だけを追わずに、いいものを生み出していくという考え方です。でも長期的に見て結果が出せなかったら、その存在の意味自体なくなってしまうので、研究開発部門でも数字の管理はしっかりされています。短い期間ではなく、長期的に見て成果を出していく計画は、必ず立てないといけないと思います。

市井)短期と長期の見方はとても参考になりますね。

東海林)最近はどうやって売上、利益を出すかを前提にものづくりを考えているタイプの人や、売るための計画を緻密に考えてコンテンツや企画を作る人、初期段階から収支を考えている人が増えています。

市井)数字管理が強くなると管理が強くなってクリエイティブが弱くなったり、現場から来た人は会計知識が少なかったりとバランスが難しくはないですか?

東海林)会計に強い人をチームに入れるなど、編成が大切になってきますね。

 

VIOP

日本のコンテンツ業界が海外から学ぶこととは?

東海林)コンテンツ業界は、ヒットしたコンテンツは2次利用3次利用で継続的にお金を生み出せる特徴があり、どの地域で収益があがっているかなどを分析する必要があると思います。コストを把握することも重要です。

市井)ライセンサーは、特にミニマムギャランティをもらっている場合は、どうヒットしているかを知る前に売れたら終わりという感覚もあるかもしれません。とは言え、ヒットの要因をトラッキングしている人は昔よりは増えてきていると思います。

東海林)日本のコンテンツ業界は新作が多いですよね。海外ではとにかく使いまわすことを考えていて、1回コストを掛けたものに対して利益を出すことへの執着が強いです。日本はまだ、再利用されることが前提にされていないと思うので、かけたコストをどのように回収するのか、より収益を上げるにはどうしたらいいのかの工夫が必要です。

山田)この海外の仕組みは、日本にも浸透していく考え方だと思います。その準備のためにもお金の回収の仕組みを習得しておくことは必要だと思います。

 

会計知識や視点を持つメリットは?


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行動指針となるKPIを立てられる

山田)株式会社には投資家がいます。投資家はお金が戻ってくることを期待しており、数字で管理された最終的な結果を評価します。この評価される仕組みが分かると、今後の目標や行動指針が数字としてはっきりしますよね。

市井)最終的な利益や売上のためにKPIを設定してそれに向かって自分の行動がどんなインパクトを与えているかの認識をした行動が求められますね。

東海林)制作チームが大きくなるほど、日々自分が何をしたらいいのか、何をしたら評価されるのかをKPIに落としていくメリットがあります。特に海外の人と仕事をするときには、KPIが無いと阿吽の呼吸で仕事ができなくなります。そういう意味では、人を動かす指標になりえます。

市井)海外の人に仕事をリクエストするときも、KPIがあれば、詰めた話ができるということになりますね。

 

よりよいプロジェクト推進へ

山田)「財務会計」は、財務諸表(決算書)など経営成績を外部に公表する際に使うもので、ルールが決まっています。基本的にプロジェクト管理で使われる「管理会計」は、自分たちが管理しやすいようにルールを作ることができ、会社によって違います。

東海林)「管理会計」の数字は、最終的に「財務会計」に置き換えられ公開されますので、どちらも重要だと考えてください。

市井)営業は「財務会計」を使うことが多いと思います。他社が儲かっている仕組みを知るためにも、財務諸表を見て判断をしていくことが大切です。

山田)原価計算など、プロジェクト管理者がコントロールできないものが加味され評価されている場合も、自分できちんと会計を理解していれば意見を言うことができます。よりよい方向に持っていくために、会計という武装をしていくのはいいことだと思います。

 

業務の効率化に繋がる

市井)経理の専門家じゃなくてもここだけは理解してほしいことはありますか?

山田)儲かる仕組みを知ってほしいです。長期的にどれだけ費用を使って、それに対してどれだけ結果=収益がどれだけでたかが大切なので、お金が入る仕組み、出ていく仕組みを知って最終的にどう収益を上げていくかを理解することが重要です。

東海林)コンテンツ業界は、各プロジェクトが大きくなってきています。ひとつのプロジェクトをひとつの会社と考えると、経営者視点を持って日々の「管理会計」を考えていかないといけません。どの数字を抑えるべきかを、勘ではなく理解して行うことが業務の効率化にも繋がると思います。

アナログからデジタル化、新技術など自分の経験だけでは計り知れないことも増えてきています。そうなると数字や「管理会計」の枠の中で理解していかないといけません。

 

コンテンツ業界向けのオリジナルプログラム「ファイナンス・エッセンシャルコース」


市井)VIPOアカデミーの「ファイナンス・エッセンシャルコース」では何が学べますか?

東海林)プロジェクト立案時には、どのように儲けるのか、どのくらい儲かりそうなのかが理論的に分かるようになると思います。今までのやり方に会計の視点を加えることで、もっと収益を上げられるという気づきを得て欲しいと思います。

山田)また、財務諸表が理解できるようになり、他社の儲けの仕組みが読み取れるようになります。

このコースは、会計を知らない方を対象に、実務で使えるよう、その日に学んだことをアウトプットし定着させることを意識して組んだプログラムですので、6日間の短期間で身に着けられるように考えられています。躊躇せずに参加してもらい、どんどん質問をぶつけてほしいです。

市井)資料もとても素晴らしいので、その時に理解できなくても後で見直して役に立つことがあると思います。

東海林)日本のコンテンツは競争力があるのでもっと利益を出せると思いますし、コンテンツ業界に関わる人たちももっとお金をもらってもいいと思っています。

山田)出資する人は儲けが無いとお金を出してくれません。また、経営者がどう見ているのかという視点を持つことは大切ですね。

市井)会計知識は出資者と経営者の視点に加え、グローバルで活動する際には、「会計」が共通言語であるという意識をもつことも重要ですね。

 

「ファイナンス・エッセンシャルコース」第二期プログラムはこちら

2017年1月26日(木)~3月2日(木)、全6回開催予定
第1回 財務会計基礎
第2回 財務諸表の読み方①
第3回 財務諸表の読み方②
第4回 プロジェクト原価計算
第5回 管理会計基礎
第6回 コンテンツ業界の管理会計

 

 

yamada_profile

山田 和延 Kazunobu Yamada
KPMGコンサルティング株式会社 パートナー、公認会計士
経理領域、経営企画領域を中心に、約17年にわたりプロセス改善・システム導入のコンサルティングを実施。
    【専門分野】

     財務・管理会計

    【主要領域】

     単体会計システム導入、決算早期化/業務効率化、IFRS導入、
     連結会計システム導入、シェアードサービス構築 等

    【主なプロジェクト実績】

    ・国内大手エンターテイメント会社:単体会計システム導入
    ・国内大手玩具メーカー:グループレポーティングシステム構築
     他多数

syouji_profile

東海林 正賢 Masayori Shoji
KPMGジャパン FinTech推進支援室 室長
KPMGコンサルティング株式会社 ディレクター
コンテンツ業界を10年以上担当し、業務改革や新事業立上支援などのプロジェクトを支援。

    【担当業界】

     出版、テレビ、アニメ、テーマパーク、
     音楽、ゲームなどのコンテンツ産業全般

    【主なプロジェクト実績】

    ・出版会社における新規事業企画
    ・コンテンツ製作会社におけるバックオフィス改革
    ・テレビ局における新ビジネス企画
    ・エンターテインメント会社における全社ERP導入プロジェクト


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