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インタビュー

2017.02.10


ビジネスマッチングの未来を担う、コンテンツの権利関連情報を集約するデータベースプロジェクト「JACC®※
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著作物を活用したビジネスを行う国内外の事業者と、コンテンツ業界の事業者とのマッチングを目的に、コンテンツの著作権の権利関連を集約したデータベースプロジェクト「JACC®」。立ち上げに関わった経済産業省、音楽や映画のデータベース運営業務を担う事業担当者、また「JACC®」の一括検索機能の開発事業担当者に、プロジェクト概要や今後の期待についてVIPO事務局長・市井がインタビューしました。

(以下、敬称略)

ジャンル毎の権利情報を横断的につなぐデータベースでビジネスマッチングのチャンスを増やす

ビジネス展開を加速させるデータベースとは?


JACC


市井)著作物を活用したビジネスを行う国内外の事業者とのマッチングを目的に、映画・テレビ番組・アニメ・音楽・ゲーム・キャラクターといったコンテンツの著作権の権利関連情報を集約するプロジェクト※1、「JACC®(Japan Content Catalog)」について、お話を伺いたいと思います。

※1
平成27年度経済産業省補正予算「地域発コンテンツ海外流通基盤整備事業」において実施する、「著作権の権利関係情報集約化事業」

各ジャンルの事業者とのネットワークやノウハウを持つ事業者が、それぞれのジャンルで構築したデータベースを、一括検索システム「JACC®サーチ」で繋げ、横断的に検索ができることが特徴ですが、事業の概要といきさつを、本事業を立ち上げられた経済産業省よりお話しください。

平井)アニメ、映画、音楽、ゲームなど様々な分野で、日本のコンテンツは海外から非常に注目を集めています。しかしながら、ライセンスを受けて商品を作りたいニーズが先方にあっても、どのようなライセンスの条件が必要なのか見えないというハードルがあり、知的財産が国境をまたぐ難しさを感じています。

事業の立ち上げの背景として、まず、内閣府による「知的財産推進計画」の中で、「権利処理手続を円滑化し、コンテンツの活用を促進するため、コンテンツ等の権利情報を集約化したデータベースの整備を官民が連携して分野ごとに進めていく」と記載されています。


次に、政府として、コンテンツの海外展開促進を目的にローカライズやプロモーションのための補助金という形で支援をしていますが、さらに権利関連情報のデータベースを整備することで、買い手側の権利状況が「分からない」という不透明感によるビジネスの機会損失をなくして海外展開を更に促進したいという趣旨があります。

そして最後に網羅性の話です。JLOPを使ったコンテンツは海外進出を目指すものなので、全てデータベースに登録いただいて、積極的に海外に出て行ってほしいと思っています。そこで網羅性あるものとするために、各コンテンツジャンルの事業者と連携を取り、JLOPを活用したコンテンツの権利関係情報を提供して、既存のデータベースを充実させることになりました。

 

横断検索ができるデータベースのメリット

JCAA


市井)今までの考え方では、全ジャンルを一同に集めたデータベースを指向していましたが、今回は、それぞれのジャンルの事業者がデータベース運営をやっていく、もしくは既にあるものを繋いだ上で、それを横断的に検索できるようにした所が、今までと大きく違う点だと思います。

今日は、既にコンテンツのデータベース運営を行い、本プロジェクト「JACC®」に参加いただく、国内アーティストの情報発信をするデータベース「SYNC MUSIC JAPAN(シンク・ミュージック・ジャパン)」と、日本映画データベース「JFDB (Japanese Film Database)」を運営する事業の担当者に参加いただいています。

まず、音楽業界のデータベース「SYNC MUSIC JAPAN(シンク・ミュージック・ジャパン)」の概要を教えてください。

菊池)2010年、社団法人日本音楽事業者協会、社団法人音楽出版社協会、社団法人音楽制作者連盟の3団体で構成する日本音楽団体協議会で、「SYNC MUSIC JAPAN(シンク・ミュージック・ジャパン)」という、データベースとウェブサイトを構築し、アーティストの情報を英語で発信、公開してきました。

2000組近くのメジャーレコード会社からのリリースしているミュージシャン、アーティストの情報が発信されており、プロフィール、公式ウェブサイトやfacebook、コンサート情報なども掲載されています。月に50万~100万程度のアクセスが世界中からあります。ミュージシャン、アーティストの窓口として、海外からの問い合わせ対応も行っています。また、今回のデータベース構築では新たに日本語で持っている1万くらいのアーティスト情報をデータに加える予定です。

市井)情報のアップデートはどうしていますか?

菊池)midemなど海外イベントや、TIMMなどの国際イベントで、プロモーションを行う際などにデータの更新をしており、データベースに情報を掲載するメリットを感じてもらうようにしています。

市井)日本映画データベース「JFDB (Japanese Film Database)」はどうですか?

西村)日本の映画を海外に普及するという趣旨の下、東京国際映画祭の開催などを行うユニジャパンが昭和33年から紙媒体で海外向けの日本映画のパンフレットや年表を作り、海外の映画マーケットや日本市や映画祭で配布していました。その情報を、平成14年から日本映画データベース「JFDB (Japanese Film Database)」として、オンラインでも掲載を始めました。

基本的に映画ビジネスは海外セールスについては仕組みが固まっており、BtoB向けに作っています。約4000作品を対象に、スタッフキャストのクレジット、映画の上映時間やフォーマット、あらすじ、解説、作品のスチール、5年程前から予告編などの動画の掲載もスタートしており、ウェブサイトのアクセス数は今年度の月平均で15万程度あります。

現在、海外のバイヤーや日本のセラーが集まってマッチングできる「Japan Content Showcase (JCS)」という毎年日本で開催されているコンテンツマーケットにおいて、情報交換を目的にしたサイトとして連携が取れるような取り組みも行っています。

「Japan Content Showcase」は、音楽やアニメのマーケットとの連携を行うなどコンテンツのジャンルの幅が広く、テレビドラマのバイヤーもいるので、実際、映画しかデータ化されてない場所だと不十分だと感じていました。そのため、この事業により他ジャンルと繋がりが持てる点は、非常に有益に感じています。窓口情報がもっとオープンになっていけば、ビジネス的にも活性化すると思います。

 

 

 

コンテンツビジネスを海外に広げるためのデータベースプロジェクト


市井)日本のコンテンツが「JACC®」の一括検索機能により横断的に検索できることで、海外から発掘される機会を増やすことにも繋がりますね。既にヒットしたコンテンツ以外も応援できる点がいいと思います。

「JACC®」の一括検索機能の開発を担当する角川アスキー総合研究所が考える運用のポイントを教えてください。

福田)各ジャンルと横の連携をつくり、国が繋いでくれるという本プロジェクトの構造が理想的だと思います。世の中のデータベースへの概念が変わってきていて、著作権や隣接権に興味を持っている人が増えてきています。まずは問い合わせ先が分からないということで生じている機会損失をデータベースで無くしていきたいです。

平井)権利情報はコンテンツの保有者なのか窓口なのかという点はあると思いますが、政府としては、権利情報の公開内容は事業者の判断に任せるべきだと思っています。その代わり保有者情報を制限する際にも、窓口がちゃんと設定されていることが条件になると思います。

現在は、作品が完成する前段階でプリセールスされている流れもあり、利用シーンごとの窓口というものも、データベースとしては設定されるといいと思います。

西村)確かに、映画は企画段階から商談を進め、お金を動かしていかなければいけません。これまでは情報をストックしていくことが主な作業でしたが、今後はストックされた情報をいかに活用するかについても考えなければいけないと思います。

平井)そして、海賊版よりも早く、消費者やバイヤーなどに情報を行き渡らせることが非常に重要だと思っています。日本の映画が海外でヒットするタイミングは以前より早くなっています。データベースを活用し海外と繋がっていかないと、海賊版に侵され取り返しがつかないことになるという点を、コンテンツを作る方に認識していただく普及活動が必要になってくるのではないかと思っています。

福田)バイヤーは、すでに流行っている商品を展示会に買いにはこないので、そこにないものを見つけられるようなデータベースにするなど、海外バイヤーに、データベースのメリットが分かるようにすることが重要です。極端な事を言えば、過去のデータを蓄積するものがデータベースではなく、まだ企画段階の情報も載せ、志高く使ってもらえるものにしていかないといけないと思います。

市井)今までの感覚のデータベースとは違った、ビジネスと言う部分を考えたときに、どうしていくべきかを考えるのは非常に重要なことだと思います。

福田)各ジャンルのトッププレーヤーが自分のお客さんにデータベースを説明してもらうことも大切です。そのためには、これから行われる「JACC®」のプロモーションで、データベースを活用するメリットを積極的に伝えるべきだと思います。

 

マッチング機能などを充実させ、ニーズに応えるデータベースに

JCAA

市井)「JACC®」に対する期待や展望はありますか?

福田)海外バイヤーがデータベースを見て、今まで以上にプラスの情報を知ることができるようになれば使うと思います。さらに時代の変わっていく部分に合わせて考えていく必要があると思います。

平井)企画段階やキャラクターベースの構想段階でのプリセールスが、これからは主流になっていくと思います。国内である程度成功したものを海外にというのではなく、セールスのリードタイムが制作に食い込んでくるようになってくるのではないでしょうか。
また、インディーズの音楽作品などを、海外バイヤーの目にとめてもらう機会を創出することも必要だと思いますし、利用シーンはデータベースの網羅性で、広がっていくと思います。音楽に限らず、アニメ、マンガなども網羅するデータベースにしてもらいたいと思います。

福田)まずは海外バイヤーに使われ、そして使う頻度を増やしてもらうことが大切だと思います。今後、バイヤーがリクエストを書き込める掲示板やQ&Aを作るなど、検索の次に必要となるマッチング機能を「JACC®」として充実させていきたいですね。

平井)現在は権利情報を載せる側にも、アクセスする側にも平等なデータベースです。ここから先に、マッチングやピッチングなど、アクセスする相手を選んでビジネスが創出されていくのも一つの出口だと思います。

西村)企画はクリエイターやプロデューサーにとっての宝物なので、なかなかオープンにしたがらないとは思いますが、データベースを使いこなすことでチャンスを広げるという判断をしてもらうように進めたいと思っています。

市井)多くのジャンルを横断できる検索機能を作ったのは大きなことだと思います。これをうまく使っていかないといけないので、成功させていきたいですね。

 

「JACC®」が継続的に活用されるために


JCAA


菊池)ビジネスの変化のスピードが速く、次に何が来るかがわかりませんよね。例えば、インディペンデントでもクラウドファンディングを使えば3時間で100万円が集まる時代です。その中で、変わらないデータベースを保持していくことが大切だと思います。

福田)SNSでのデータは、蓄積はされていますが、整備はされていません。「JACC®」によりコンテンツの各ジャンルが繋がったので、海外で勝負したい人や海外バイヤーのためにも、権利情報の見せ方を整備していくことが大切だと思います。

平井)データベースは網羅性と適時性が大切だと思います。これからは、流行りものを最初につかみたいというニーズが増えてくると思います。企画を作り上げるための場、またアイデアを叶えられる場になればいいと思います。

経済産業省の事業としての「JACC®」は今年3月で終わりますが、ここでできた横断的な繋がりは今後も継続できればと思っています。また、昨年12月19日から募集を開始した「J-LOP4」を活用したコンテンツの権利情報がデータベースに掲載されていきます。

福田)これからも話し合いの場を継続的に設けて、このデータベースプロジェクト「JACC®」を運用していきたいですね。

市井)このデータベースは、3月6日に完成する予定です。また、皆様に有効に活用いただくために、データベースのプロモーションも実施されています。

JLOPの採択案件だけでなく、数多くの作品の権利情報やアーティストの情報が検索でき、国内外の方々に有効に活用してもらえるように、データベースを構築した各事業者の方々と今後も継続的に話し合いを進めて行きたいと考えております。皆さんのビジネスの拡大に有効に活用されることを期待しています。

■権利関連情報データベース「JACC®(Japan Content Catalog)

※登録商標”JACC”は,当機構が株式会社ITSCから許諾を得て使用しています。

 

 

 

Atsuo Hirai

平井 淳生 Atsuo Hirai
経済産業省 商務情報政策局 メディア・コンテンツ課長
  • 1992年4月

    通商産業省(当時)入省

  • 2008年7月

    経済産業省商務情報政策局
    情報経済課情報経済 企画調査官

  • 2011年7月

    九州経済産業局地域経済部長

  • 2013年5月

    中小企業庁経営支援部創業・技術課長

  • 2014年7月

    同経営支援部技術・経営革新課長

  • 2015年7月

    現職

Tadashi Fukuda

福田 正 Tadashi Fukuda
株式会社角川アスキー総合研究所 代表取締役専務

  • 2000年 2月

    株式会社角川デジックス
    (現株式会社角川アスキー総合研究所) 代表取締役専務

  • 2003年10月

    株式会社角川デジックス
    (現株式会社角川アスキー総合研究所) 代表取締役社長

  • 2008年 5月

    社団法人デジタルメディア協会 理事 (現任)

  • 2009年 3月

    株式会社角川マーケティング 現株式会社KADOKAWA) 代表取締役専務

  • 2009年 7月

    株式会社K.Sense (現株式会社毎日が発見) 取締役

  • 2011年 10月

    MIT(マサチューセッツ工科大学) メディアラボ 上席研究員(現任)

  • 2013年 1月

    株式会社角川アスキー総合研究所 代表取締役専務(現任)

Naoto Kikuchi

菊池 尚人 Naoto Kikuchi
一般社団法人融合研究所 代表理事

  • 1993年に慶應義塾大学経済学部を卒業後、郵政省入省。現在、一般社団法人融合研究所代表理事のほか、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究特任准教授、一般社団法人CiP協議会参与、2020年オリンピック・パラリンピックを活用した地域活性化推進首長連合事務局長代理等を務める。

Takashi Nishimura

西村 隆 Takashi Nishimura
公益財団法人ユニジャパン管理部長

  • 1980年

    ぴあ株式会社入社
    「ぴあフィルムフェスティバル」プロデューサー就任

  • 1991年

    ぴあ株式会社退社。映画プロデューサーとして製作に従事

  • 2000年

    東京国際映画祭「東京フィルム・クリエイターズ・フォーラム」
    プロデューサー就任

  • 2002年

    財団法人日本映画海外普及協会 事務局次長就任

  • 2005年

    財団法人日本映像国際振興協会 事務局次長就任

  • 2009年

    同 事務局長就任

  • 2010年

    公益財団法人ユニジャパン 事務局長就任

  • 2015年

    同 退任。管理部長就任、現在に至る


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