株式会社読売テレビエンタープライズ

先進コンテンツ技術による地域活性化促進事業 支援事例

株式会社読売テレビエンタープライズ鳥人間VRトラベル in 滋賀(仮)
※リリース時のコンテンツタイトルは変更の可能性があります。

琵琶湖を舞台に開催されている「鳥人間コンテスト」をはじめとする、滋賀県の「今見るべき・体験すべき」スポットの360度映像を制作。
これら複数の360度動画を次世代の360度動画視聴システムでパッケージコンテンツ化することで、京都、大阪、神戸に次ぐ近畿地方の観光スポットとして日本国内外に向けて広くアピールする。

使用予定の先進映像技術:
●ドローン/水中/暗所/熱所/四季など、さまざまな環境下での360度撮影技術
 ⇒それらの映像を効果的に1本のタイムラインに落とし込む演出
●次世代360度動画視聴インタフェース 「Spatial Gate」
 ⇒VR(CG空間)と360度映像をシームレスに繋ぐ演出を実現
 ⇒複数の360度動画を効果的にパッケージングし、視聴可能
●せきぐちあいみさん制作によるGoogle Tilt Brush 滋賀アート
 ⇒パッケージングシステムのHOME画面としてVRアーティスト・せきぐちあいみさんによる
  滋賀CGアートを採用
 ⇒現在の近江八幡市にかつて存在した「安土城」をVRアートとしてVR空間に再現

今回のコンテンツ制作について

特に気を遣っている点

①360度で撮る意味のある対象物にすること
⇒花火船からの花火、水族館の水槽など、日常では見られない視点から対象物を撮影
②HMDを装着して視聴したいと思わせる題材の選定
⇒鳥人間コンテストなど、パイロットの目線を追体験可能なコンテンツの展開
③「意味のある」360度映像編集演出
⇒絶景ポイントを紅葉/雪景色の季節を横断して同ポジ撮影し、空間ごと塗り替える演出など

最も苦労した点

<鳥人間コンテストの撮影>
360度カメラは熱に非常に弱いため、放熱作業が必須で、少しでも怠ると熱暴走してしまう。40度近い炎天下での撮影は困難を極めた。
<ロケ現場での撮影済み素材の確認>
リアルタイムに撮れ高を確認できず、目視確認も映りこみの関係で不可能なこと。
<カメラポジションの選定>
ステッチラインや光の明暗のバランスなどを意識した上での場所の選定。

新たな技術や技法

<ユーザーインターフェース>
CG画面をHOME画面とし、複数の360度動画を視聴可能なパッケージングシステムであるSpatialGateをプロジェクト用にカスタマイズ。視聴者に異次元の空間遷移体験を届けることを可能にした。
<動画演出>
絶景ポイントを紅葉/雪景色の季節を横断して同ポジ撮影し、空間ごと塗り替える演出など、「ただ景色を見せる」だけの演出は極力やめて、インパクトのある演出を心がけた

コスト削減に効果的な独自の手法

撮影前に徹底的にプランを練って、必要最低限の映像に焦点を当てて撮影することを徹底した。収録量が増えすぎると、その分、データの書き出し、ステッチ、プレビュー等の編集に至るまでの準備に膨大な作業量が必要となり、それが人件費、編集室使用料等のコスト増に繋がってしまう。
ポスプロのワークフローの見直しによりコスト削減を図った。特に撮影後の仮ステッチから本ステッチの流れの見直しで作業時間の減少がみられた(適正コストの計算前)。
撮影機材の選定は、高額であるにも関わらず技術の進歩速度が償却期間の想定を上回る現状では非常に重要となる。

ユーザーターゲット・年齢制限

ハイエンド版はHMDを使用するので13歳以上。同時に年齢制限のないWEB版も展開する。
今後の展開としては、アンテナショップなど、子供が見る可能性がある所などでの一眼式の簡易型HMDなどの採用も検討。
地域活性化の1つのゴールでもある誘客も視野に入れると、中高年向けとしたいところだが、VRになじみのないその層にコンテンツを届けるためには、自治体も含めての検討が必要となる(現時点では取り組むに至っていない)。

映像酔いを防止する工夫

鳥人間のコンテンツでは、機体のコックピットを合成することで視線誘導を行い、酔い防止に努めた。
なるべくカメラを固定して撮影。カメラを移動しながら撮影する場合は視線の中に動かないオブジェクトを固定させた(車や飛行機からの景色には目の前に車体や機体を配置させる)。

没入感・リアリティ・臨場感を高めるための取り組み

音は別収録ではめ込んだり、テロップなどはテレビ同様のクオリティで実施。ステッチの破綻を目立たせないようにするカメラセッティング、ポスプロ処理を行った。
視点を動かさなくても変化を感じることが可能な“タイムラプス”や“ドローン空撮”、“乗り物への固定”など

地域振興のための注力点

全てを滋賀県で撮影した。今まで紹介されていない穴場、360度演出が効果的なロケ地を中心に選定。自然豊かな滋賀県の魅力が表現できるように注力した。コンテンツの選定方法としては、「空撮ドローン」「花火」「紅葉」「水中」「VRアート」と、全て異なる切り口でコンテンツの制作に挑んだ。
さらに、SpatialGate開発者の脇塚啓氏、VRアートの第一人者、せきぐちあいみさんなど、VR業界のトップクリエイターの皆さんとコラボレーションすることで話題作りに努めた。

配信先

システム全体ではないが、鳥人間コンテストの一部映像のみ、下記サイトにて配信中
https://www.360ch.tv/channel/101

実施事業者からのコメント

巷には「果たして本当に360度で撮る意味があるのか?」といった360度映像が溢れかえっている中、我々は60年にわたるテレビ番組制作のノウハウを結集し「意味のある対象物」「意味のある演出」を徹底的に心がけて、滋賀の魅力を伝えるさまざまな映像を制作しました。

また、制作した動画を幅広い視聴者層に届け、その魅力を最大限引き出すためには、HMDを装着して視聴してもらうこと、装着した際の操作がシンプルであることが必要であるとの考えに基づき、動画パッケージングシステムの開発に努めました。

滋賀県の魅力を今までにない方法で伝える「鳥人間VRトラベル in滋賀(仮)」、ぜひともご覧ください!