株式会社NHKエンタープライズ

先進コンテンツ技術による地域活性化促進事業 支援事例

株式会社NHKエンタープライズ360度カメラや超広角レンズを使用した歌舞伎コンテンツによる地域経済の活性化

日本各地に現存する、昔から地元の人たちに愛されてきた歌舞伎小屋を舞台に、歌舞伎や、その小屋を育んだ地域の魅力を伝えるコンテンツを制作。ドーム映像・VR映像の特質を生かし、地方の知られざる文化財を国内外の人々が認知&訪問するきっかけの一つとする。

今回のコンテンツ制作について

特に気を遣っている点

ドームシアター用で高精細な実写映像の上映を目指しているため、ポスプロ作業における、ドームマスターへの変換、およびグレーディング(色補正)と、上映の際のプロジェクションに特に気を使っている。

最も苦労した点

撮影本番時にドームスクリーンに投影して確認することができないため、カメラのアングルや被写体(役者)の位置や距離を計算する必要がある点。事前にテスト撮影することで役者の最適な立ち位置を割り出した。

新たな技術や技法

新開発の特殊レンズ(250度の超広角レンズ)を使ったドームシアター用の撮影手法は、世界初となる。

コスト削減に効果的な独自の手法

ポスプロ作業を見直すことで、8K映像をドームマスター用に変換するコストを5分の1に削減することが可能になった。

ユーザーターゲット・年齢制限

ドームシアター用映像は、子どもから大人まで、通常の映画と同様のターゲットが想定。VR用映像は2眼式のHMDの場合、13歳以下は使用を制限する(1眼式の場合は、その制限はない)。

映像酔いを防止する工夫

撮影時、被写体の動きで映像酔いが発生しそうな演出や、カメラのローリングなどは避けている。

没入感・リアリティ・臨場感を高めるための取り組み

高精細化と視界全体を覆う映像による没入感を目指している。

地域振興のための注力点

まだ全国的に知られていない、地域の芝居小屋を取り上げることで、地域振興につながっていると考える。また、来日する外国人にも映像を見ていただく環境を提供していきたい。

実施事業者からのコメント

NHKグループでは現在、8Kや4Kなどのいわゆる「高精細映像」の本放送の準備を進めるとともに、2020年のオリンピックなどを視野に入れた放送外利用について、さまざまな試行錯誤を行っております。その一環として、高精細の実写映像を、プラネタリウムなどのドームシアターで公開したり、VR映像として再現するという試みがございます。実はこれまで、実写映像がクリアでリアルなまま、ドームシアターやVRで再現された例も、また、歌舞伎の舞台を表現した例もなく、それぞれの業界でも大変注目されている試みです。

そしてこのたび、NHKエンタープライズでは「先進コンテンツ促進事業費補助金」を活用させていただき、高精細の動画はもちろん、高いクオリティを再現できるスチルカメラの映像などを用い、没入感、立体感のある美しい映像表現の実現を目指しております。