2026.04.03 実施報告
【動画公開】「全国映画資料アーカイブサミット2026」開催報告

令和7年度アーカイブ中核拠点形成モデル事業
1/23開催「全国映画資料アーカイブサミット2026」
アーカイブ動画(YouTube)を公開中


国立映画アーカイブは「令和7年度アーカイブ中核拠点形成モデル事業」の一環として、2026年1月23日(金)にオンラインにて「全国映画資料アーカイブサミット2026」を開催いたしました。開催当日の録画映像を編集した動画を、本事業YouTubeチャンネルにて公開いたしましたので、ぜひご覧ください。
 
7回目の開催となる今回のサミットでは、望ましい映画資料アーカイブの構築に向けてさらに議論を深めるべく、映画資料アーカイブにおけるケーススタディを軸にした著作権についてのセミナー、映画分野の展覧会キュレーション、日本のアニメーションに関するオンラインデータベース、海外大学の日本映画資料コレクションについての発表など多様なプログラムを実施いたしました。
 

開催・動画概要

日 時:2026年1月23日(金)13:00~17:00
場 所:Zoomを用いたライブ配信(主会場VIPO会議室)
参加者:220名
参加費:無料
構 成:
第1部:報告 令和7年度アーカイブ中核拠点形成モデル事業の実施概要について(約5分)
第2部:報告 国立映画アーカイブの映画資料を活用した教育普及事業(約15分)
第3部:セミナー ケーススタディで学ぶ、映画資料アーカイブの権利関係(約60分)
第4部:報告 映画資料展―2025年現地報告(約44分)
第5部:報告 映画資料から生まれた映画『ファントム・ライダーズ』二部作をめぐって(約20分)
第6部:報告 書籍「日本アニメーション映画史」収録作品目録の改訂とウェブ版作成について(約21分)
第7部:セミナー 海外に広がる日本映画資料‐イェール大学図書館の日本映画コレクションについて(約32分)
動画公開:2026年4月3日~2027年3月末(予定)
 

 
 

開催報告

第1部:報告
令和7年度アーカイブ中核拠点形成モデル事業の実施概要について(約5分)

登壇者:佐藤 友則(VIPO事務局)
 
事務局から令和7年度事業の概要(調査、展示、映画資料のデジタルアーカイブ化、JFROLの運用、全国映画資料館録2025)について説明しました。

 
第2部:報告
国立映画アーカイブの映画資料を活用した教育普及事業(約15分)

登壇者:玉田 健太(国立映画アーカイブ主任研究員)

宮本 法明(国立映画アーカイブ研究員)

 
国立映画アーカイブで実施しているこども映画館や常設展のジュニア向けセルフガイドの配布、博物館実習やインターンシップなどの教育普及事業と関わる映画資料の活用事例について発表した。こども映画館と連動した常設展解説や撮影機等展示資料に関する思考をうながす質問の載った解説カード、小中高生向けの団体展示鑑賞、高校生を対象としたバックヤードツアー、博物館実習やインターンシップにおける映画ポスターや脚本の整理作業の事例を通じて、映画資料を活用した教育普及・人材育成について解説しました。

 
第3部:セミナー
ケーススタディで学ぶ、映画資料アーカイブの権利関係(約60分)

講師:数藤雅彦(五常総合法律事務所 パートナー弁護士)
 
映画資料の利用において留意すべき著作権等の法律について、7つのケーススタディに沿って解説していただいた。様々な映画資料の中から映画ポスター、写真(スチル、スナップ)、脚本、画コンテ、衣裳といった著作物を例として、言語、美術、写真といった著作物ごとの権利者、それら権利者が持つ権利、著作物の保護期間の違い等とともに、その展示や出版、デジタルアーカイブ公開、来場者のSNS投稿という利用事例における基本的な著作権等の法律の考え方やその処理の仕方等について、わかりやすく説明していただきました。

 
第4部:報告
映画資料展―2025年現地報告(約44分)

登壇者:
1.映画字幕翻訳の仕事 ──1秒4文字の魔術(会場:鎌倉市川喜多映画記念館)
登壇者:馬場 祐輔(鎌倉市川喜多映画記念館 総括責任者)
 
2.川辺 弘一 映画コレクション展(会場:羽島市映画資料館)
登壇者:近藤 良一(羽島市映画資料館 相談役)
 
2025年に開催された全国の映画資料展の中から、映画字幕翻訳の仕事をテーマにした展示と、映画資料コレクターから寄贈された大規模なコレクションを活用した展示の2つを例に、各担当者にキュレーションの方法や経緯また展示内容についてご報告いただいた。「映画字幕翻訳の仕事」では、その裏方の仕事の歴史や使用される道具(機材)、字幕翻訳者それぞれの思いなどとともに、展示の工夫などについてお話しいただいた。「川辺 弘一 映画コレクション展」では、川辺氏の来歴から彼が集めた資料の詳細、コレクションを活用してほしいという川辺氏の想いを受け止めて、寄贈から展示にいたった経緯についてご報告していただきました。

 
第5部:セミナー
映画資料から生まれた映画『ファントム・ライダーズ』二部作をめぐって(約20分)

登壇者:佐々木 友輔(鳥取大学准教授)

杵島 和(神戸大学大学院生)

 

2024年のサミットでご報告いただいた鳥取の映画文化リサーチプロジェクト「見る場所を見る」から発展して制作された映画作品について、共同監督の二人に、ご報告いただいた。まず佐々木氏から2022年からの同プロジェクト概要、そこから作品制作にいたった経緯、そして<「現在」に遺された映画館プログラムから想起された、「過去」にあったかもしれない映画鑑賞の記憶を追体験する、一種の「時間旅行」映画>という作品コンセプトをご説明いただいた。次に、杵島氏から脚本の制作方法や、劇中に登場する過去の映画館の紹介とともに、具体的な制作過程が語られた。そして同作を通じて、映画資料が持つ「タイムマシン」としての魅力やアーカイブの価値を伝えたいという志が述べられて締めくくられました。

 
第6部:報告
書籍「日本アニメーション映画史」収録作品目録の改訂とウェブ版作成について(約21分)

登壇者:松山 ひとみ(神戸映画資料館研究員)
 
文化庁メディア芸術アーカイブ推進事業の助成による事業(事業主体:NPO法人プラネット映画保存ネットワーク)の一環で進めているウェブ版「日本アニメーション映画史」の制作(デジタルアーカイブジャパン・アワード2025受賞)について、担当者の松山氏にご報告いただいた。まず1977年に出版された書籍『日本アニメーション映画史』は特に戦前・戦中の作品一覧として貴重であるが、今回情報の正確性や信頼性を高めるために、再調査による目録の改訂を実施した経緯とその過程について語られた。次にウェブ版公開における技術的な説明と、そのメリットとして作品とフィルムの情報を相互に関連付けでき、データ登録・修正が容易であることなどを挙げ、先人の遺した研究成果が、デジタル技術の進歩によってアップデートされてゆく様が語られました。

 
第7部:セミナー
海外に広がる日本映画資料‐イェール大学図書館の日本映画コレクションについて(約32分)

講師:アーロン・ジェロー(イェール大学教授)
 
イェール大学図書館の日本映画コレクションについて、同大学教授で日本映画研究者のジェロー氏にご解説いただいた。まず歴史ある同大学での映画研究の歴史、フィルムアーカイブの創立経緯とその充実した上映施設や所蔵フィルムの概要などが紹介された。次に学内13館の図書館の内、映画資料を所蔵する3館とその所蔵資料の概要についてご説明いただいた。最近購入した映画草創期から近年までの膨大な書籍・雑誌を集めた竹内重弘コレクションから、既に整理が進んだ、主に1970年代以降の日本映画のチラシ等のコレクション、ドキュメンタリー映画作家・土本典昭の個人資料について、その資料概要や整理方法、ウェブ公開されているデータについてご説明いただいた。最後に土本コレクションやイェール大学全体の映画資料の今後の展望が語られ締めくくられました。

 

お問い合わせ先

特定非営利活動法人映像産業振興機構(VIPO)
アーカイブ中核拠点形成モデル事業事務局
E-mail: nonfilm.archive@vipo.or.jp