VIPOスタッフインタビュー:Nahoko Yamashita

グローバル展開の最前線で「推し活」の熱意をもってクリエイターを支援する
特定非営利活動法人映像産業振興機構(VIPO)の最前線で活躍する社員に焦点を当てる本企画。今回は、グローバル展開事業部でマネージャーを務める山下七保子さんにお話を伺いました。長年、東京国際映画祭の広報や運営に携わってきた「映画祭のプロ」としての知見を活かし、現在は日本のクリエイターが世界へ羽ばたくための「伴走支援」に尽力されています。仕事のやりがいや今後の展望について詳しくお話を伺いました。
コンテンツ事業者と二人三脚の「伴走支援」で海外進出を支援
── 本日はありがとうございます。まず、現在のVIPOでの業務についてお伺いします。現在、グローバル展開事業部の中で、山下さんがメインで担当されている業務について、まずお話しいただけますか。
山下:
今一番メインで担当しているのは、経済産業省のJLOX+事業として実施している伴走支援事業になります。以前は「ビジネスマッチング事業」と呼ばれていたのですが、日本のコンテンツ事業者さんと海外のコンテンツ・バイヤーや一緒に事業を進めてくれる皆さんとのマッチングが事業のスタートでした。それが年々ブラッシュアップされ、今では「伴走支援」という言葉がぴったりくるように、よりコンテンツ事業者と二人三脚で、課題解決や目標達成に取り組む支援に形が変わってきました。
今一番メインで担当しているのは、経済産業省のJLOX+事業として実施している伴走支援事業になります。以前は「ビジネスマッチング事業」と呼ばれていたのですが、日本のコンテンツ事業者さんと海外のコンテンツ・バイヤーや一緒に事業を進めてくれる皆さんとのマッチングが事業のスタートでした。それが年々ブラッシュアップされ、今では「伴走支援」という言葉がぴったりくるように、よりコンテンツ事業者と二人三脚で、課題解決や目標達成に取り組む支援に形が変わってきました。
── 「伴走支援事業」という名前だけだとイメージが湧きにくいかもしれません。具体的な事例として、どのような活動を通じて事業者等を支援されているのでしょうか。
山下:
具体的な業務の流れにも関わってきますが、私たちは海外の様々な映画祭やマーケットとパートナーシップを結び、日本のプロデューサーやディレクターを派遣するプログラムを年間15本ほど実施しています 。たとえば、釜山国際映画祭やベルリン国際映画祭、カンヌ国際映画祭、ロッテルダム国際映画祭などが主催する企画マーケットやタレント育成・企画開発プログラムですね。
基本的な流れは、まずプログラムへの参加者を募集し、選考します。選考後、本番に向けて、私たちは参加者と一緒に走る(伴走)という意味で、ピッチトレーニングやオリエンテーションを提供し、参加準備をサポートします。現地では、海外の映画関係者の前でオープンピッチ(多数の人が参加できる公開形式の短いプレゼンテーション)をすることもあります。帰国後にはミーティングや参加プログラムの結果を伺って、さらなるサポートが必要であれば継続して後につなげるフォローアップも行います。
具体的な業務の流れにも関わってきますが、私たちは海外の様々な映画祭やマーケットとパートナーシップを結び、日本のプロデューサーやディレクターを派遣するプログラムを年間15本ほど実施しています 。たとえば、釜山国際映画祭やベルリン国際映画祭、カンヌ国際映画祭、ロッテルダム国際映画祭などが主催する企画マーケットやタレント育成・企画開発プログラムですね。
基本的な流れは、まずプログラムへの参加者を募集し、選考します。選考後、本番に向けて、私たちは参加者と一緒に走る(伴走)という意味で、ピッチトレーニングやオリエンテーションを提供し、参加準備をサポートします。現地では、海外の映画関係者の前でオープンピッチ(多数の人が参加できる公開形式の短いプレゼンテーション)をすることもあります。帰国後にはミーティングや参加プログラムの結果を伺って、さらなるサポートが必要であれば継続して後につなげるフォローアップも行います。
── 具体的な実務の流れについて、もう少し詳しくお聞かせください。募集から現地での活動、その後のフォローまで、どのような業務があるのでしょうか。
山下:
私たちは、世界各地で開催される主要な映画祭やマーケットと連携し、日本のクリエイターやプロデューサーが国際舞台へ挑戦するための様々なプログラムを運営しています。
まず、海外のパートナー組織と協力して日本からの参加枠を確保し、広く参加者を募集することから始まります。選考にあたっては、企画の内容がグローバル市場で通用する視点を持っているか、海外のプロフェッショナルと対等に渡り合えるポテンシャルがあるか、といった観点を大切にしています。
参加者が決まった後は、本番に向けた「準備」を徹底的にサポートします。例えば、海外での商談やプレゼンテーションで、自分たちの企画の魅力を最大限に伝えられるよう、専門家を交えたアドバイスやスキルの底上げを行うこともあります。
現地では、日本の参加者が現地のキーパーソンとスムーズに繋がれるよう、ネットワーキングのサポートを行うことも少なくありません。帰国後も一度きりの参加で終わらせず、その後のプロジェクトが具体的に映像化や海外展開へと進展していくよう、定期的にコミュニケーションを取りながら長期的に並走し続けています。
私たちは、世界各地で開催される主要な映画祭やマーケットと連携し、日本のクリエイターやプロデューサーが国際舞台へ挑戦するための様々なプログラムを運営しています。
まず、海外のパートナー組織と協力して日本からの参加枠を確保し、広く参加者を募集することから始まります。選考にあたっては、企画の内容がグローバル市場で通用する視点を持っているか、海外のプロフェッショナルと対等に渡り合えるポテンシャルがあるか、といった観点を大切にしています。
参加者が決まった後は、本番に向けた「準備」を徹底的にサポートします。例えば、海外での商談やプレゼンテーションで、自分たちの企画の魅力を最大限に伝えられるよう、専門家を交えたアドバイスやスキルの底上げを行うこともあります。
現地では、日本の参加者が現地のキーパーソンとスムーズに繋がれるよう、ネットワーキングのサポートを行うことも少なくありません。帰国後も一度きりの参加で終わらせず、その後のプロジェクトが具体的に映像化や海外展開へと進展していくよう、定期的にコミュニケーションを取りながら長期的に並走し続けています。
── その活動には、ロッテルダムや釜山などの映画祭事務局側との継続的なコミュニケーションが不可欠ですね。

釜山ACFM Producer Hub
山下:
はい。年間を通して、ウディネ・ファーイースト映画祭、カンヌ国際映画祭、アヌシー国際アニメーション映画祭、富川ファンタスティック国際映画祭、釜山国際映画祭、ロッテルダム国際映画祭、ベルリン国際映画祭といった様々な映画祭やマーケットを回り、韓国や台湾・香港などの他国・他エリアの業界団体とも、組織対組織でのミーティングを必ず行い、情報をキャッチアップしています。これは、翌年に自分たちがマーケットで実施しようと考えているプログラムの情報交換など、次の事業につながる非常に大切な活動です。

ロッテルダムラボ
また、私たちが扱っているコンテンツは、実写映画だけではなく、アニメ、ゲーム、そして最近よく言われるIP(知的財産)、および音楽と、とても幅広いのが特徴です。
海外の業界団体(TAICCA台湾クリエイティブ‧コンテンツ‧エイジェンシー(Taiwan Creative Content Agency)やCNCフランス国立映画映像センター(Centre national du cinéma et de l’image animée)など)と話すときも、映画だけじゃない広い視野で連携できるように意識しています
伴走支援以外の取り組みや自主事業について
──伴走支援事業以外にも、総務省事業や自主事業も担当されているそうですね。
山下:
今年から、総務省の放送事業者向けの人材育成事業を他社からの受託事業として担当しています。VIPOではこれまで映画業界の人材育成を幅広く行ってきましたが、TV業界のドラマ製作人材の育成も手掛けることになりました。具体的には、国内研修(座学)と、海外(韓国)への人材派遣研修を運営しています。
初年度で目指したいのは、製作ができる人材を短期間で育成するというよりも、まずは参加者のマインドセットを変えるところだと思っています 。要は、製作初期段階から海外展開や国際共同製作を意識できるように変化して欲しいということです。
たとえば韓国への派遣は2泊3日と短い期間ですが、韓国の製作者たちとの人的ネットワークを作ることを重視したプログラムを考えるなど「グローバル視点で製作ができるような人材を作る」ことを目標としています。
今年から、総務省の放送事業者向けの人材育成事業を他社からの受託事業として担当しています。VIPOではこれまで映画業界の人材育成を幅広く行ってきましたが、TV業界のドラマ製作人材の育成も手掛けることになりました。具体的には、国内研修(座学)と、海外(韓国)への人材派遣研修を運営しています。
初年度で目指したいのは、製作ができる人材を短期間で育成するというよりも、まずは参加者のマインドセットを変えるところだと思っています 。要は、製作初期段階から海外展開や国際共同製作を意識できるように変化して欲しいということです。
たとえば韓国への派遣は2泊3日と短い期間ですが、韓国の製作者たちとの人的ネットワークを作ることを重視したプログラムを考えるなど「グローバル視点で製作ができるような人材を作る」ことを目標としています。
──自主事業のVIPOフィルムアワードはずっと継続されている重要な取り組みですね。

VIPOフィルムアワード
山下:
はい。VIPOフィルムアワードは自主事業で、グローバル展開事業部長の構想からスタートしました。これは、各国の企画マーケットの主催者との関係性を強く持つことと、今のトレンドを掴むという二つの目的があります。
私たちが審査に加わり企画ピッチを受けることで、最新のトレンドを把握することができます 。幸いにも、この賞を受賞した企画が映画として完成し、映画祭に出品されるケースも出てきており、その企画に関わるプロデューサーや監督の次回作が日本との共同製作につながる可能性も見えています。
── 現在、山下さんが所属されているグローバル展開事業部は、何人くらいで動いているのでしょうか。また、どのような雰囲気で仕事をしていますか?
山下:
チームは7人体制です 。リモート中心で業務を行っているため、chatアプリでのやり取りが非常に多くなっています 。個人的にも、便利なツールは最大限に活用し、細かくやり取りすることで、気になることを残さないように意識しています。
グローバルな業務では、海外に出張することも多いですし、語学ができることが基本ですが、それ以上にコミュニケーション能力が非常に重視されます。国内の事業者さんだけでなく、日本のコンテンツを受け入れてくれる海外のカウンターパートナーとの情報交換やつながりが大切だからです 。
チームは7人体制です 。リモート中心で業務を行っているため、chatアプリでのやり取りが非常に多くなっています 。個人的にも、便利なツールは最大限に活用し、細かくやり取りすることで、気になることを残さないように意識しています。
グローバルな業務では、海外に出張することも多いですし、語学ができることが基本ですが、それ以上にコミュニケーション能力が非常に重視されます。国内の事業者さんだけでなく、日本のコンテンツを受け入れてくれる海外のカウンターパートナーとの情報交換やつながりが大切だからです 。
これまでのキャリア:映画祭のプロからVIPOへ
── ここからは個人的な話になりますが、これまでのキャリアとVIPOに入られた経緯についてお聞かせいただけますか。
山下:
VIPOに入る直前までは東京国際映画祭の仕事に18年間携わっていました。映画祭では、スポンサー、運営、海外広報、そして最終的には広報と、作品部(※上映作品の選定部署)以外の大半の部署を経験しました。
その前は、音楽系の仕事に2、3年いて、これがスタートです。実は高校卒業後に医療系の短大に進学しましたが、方向性が違うと感じて辞め、アメリカへ留学し、大学の専攻もエンターテインメント関係で、ずっとこの世界にいます。
VIPOに入ったのは2021年3月です。依然として新型コロナウィルスが猛威を振るっていた頃で、自分のキャリアを考える時間があったことと、映画祭の体制が大きく変わるタイミングでもありました。そのとき、VIPOで人を探しているということをお話しくださる方がいて、業務内容について話を聞いて「面白いな」と思い入社しました。
VIPOに入る直前までは東京国際映画祭の仕事に18年間携わっていました。映画祭では、スポンサー、運営、海外広報、そして最終的には広報と、作品部(※上映作品の選定部署)以外の大半の部署を経験しました。
その前は、音楽系の仕事に2、3年いて、これがスタートです。実は高校卒業後に医療系の短大に進学しましたが、方向性が違うと感じて辞め、アメリカへ留学し、大学の専攻もエンターテインメント関係で、ずっとこの世界にいます。
VIPOに入ったのは2021年3月です。依然として新型コロナウィルスが猛威を振るっていた頃で、自分のキャリアを考える時間があったことと、映画祭の体制が大きく変わるタイミングでもありました。そのとき、VIPOで人を探しているということをお話しくださる方がいて、業務内容について話を聞いて「面白いな」と思い入社しました。
──VIPOに入られてみて、どのような印象を受けましたか。
山下:
最初の印象は、想像していたよりも非常に規模が大きかったことです 。コロナ禍でJ-LODlive事業などを請け負っていた時期で、当時スタッフが約200人いると聞いてびっくりしました 。人数だけでなく、事業の幅広さにも驚きました。
日本各地にちらばった映像アーカイブを整理する事業から、映画の現場に学生を派遣する育成事業まで本当に多岐にわたって、業界を支えているのだなと感じました。
また、入社時に現在の事業部長から、これからは映画だけでなく、音楽、ゲーム、アニメといった分野の知識も必要だと言われました。IP(知的財産)ととらえるとすべてがつながっており、映画がゲームに、ゲームが映画になるような状況だと仕事をしてみて理解しました。
最初の印象は、想像していたよりも非常に規模が大きかったことです 。コロナ禍でJ-LODlive事業などを請け負っていた時期で、当時スタッフが約200人いると聞いてびっくりしました 。人数だけでなく、事業の幅広さにも驚きました。
日本各地にちらばった映像アーカイブを整理する事業から、映画の現場に学生を派遣する育成事業まで本当に多岐にわたって、業界を支えているのだなと感じました。
また、入社時に現在の事業部長から、これからは映画だけでなく、音楽、ゲーム、アニメといった分野の知識も必要だと言われました。IP(知的財産)ととらえるとすべてがつながっており、映画がゲームに、ゲームが映画になるような状況だと仕事をしてみて理解しました。
── VIPOでの今後の目標についてお聞かせください。
山下:
目標は、私たちが伴走支援したプロデューサーやクリエイターの企画が、三大映画祭(カンヌ国際映画祭、ヴェネツィア国際映画祭、ベルリン国際映画祭)やアカデミー賞などでノミネーションされるというニュースをたくさん作りたい、放送ジャンルでは、「エミー賞」に日本の作品が選出されることです。
映画祭は、作品を作っている人たちにとって、最高のご褒美であり、誇らしいお披露目の場です。私たちが伴走支援した方々が、そうした世界の晴れ舞台で日の目を浴び、正当な評価を受ける瞬間を、もっとたくさん作っていきたいと思っています。
目標は、私たちが伴走支援したプロデューサーやクリエイターの企画が、三大映画祭(カンヌ国際映画祭、ヴェネツィア国際映画祭、ベルリン国際映画祭)やアカデミー賞などでノミネーションされるというニュースをたくさん作りたい、放送ジャンルでは、「エミー賞」に日本の作品が選出されることです。
映画祭は、作品を作っている人たちにとって、最高のご褒美であり、誇らしいお披露目の場です。私たちが伴走支援した方々が、そうした世界の晴れ舞台で日の目を浴び、正当な評価を受ける瞬間を、もっとたくさん作っていきたいと思っています。
──最後に、これからVIPOで働きたいと考えている人へ、メッセージをお願いします。
山下: 大前提として、エンタメが好きな人であってほしいです。
あとは、「推し活」のような思いを持つ人が向いている気がします。「このコンテンツを応援したい」「このアーティストをもっと大きくしたい」という思いでお仕事できるといいと思います。
VIPOの仕事は、ものづくりに携わる人たちやプロデュースしている人たちを、後ろから支えてサポートしていくという立ち位置なので、そういったリスペクトを持ってサポートしきれる人が大切だと思います。
あとは、「推し活」のような思いを持つ人が向いている気がします。「このコンテンツを応援したい」「このアーティストをもっと大きくしたい」という思いでお仕事できるといいと思います。
VIPOの仕事は、ものづくりに携わる人たちやプロデュースしている人たちを、後ろから支えてサポートしていくという立ち位置なので、そういったリスペクトを持ってサポートしきれる人が大切だと思います。
──大変参考になりました。本日はありがとうございました。

