平成17年度事業報告

(平成17年6月~平成18年3月)

当機構は2004年12月6日に設立され、2005年6月1日に特定非営利活動法人としての登記・設立を行った。特定非営利活動法人としての設立準備期間における活動の概要は以下の通りである。

1. 事業の成果

当機構は平成17年6月1日に特定非営利活動法人(NPO法人)としての登記・成立を行い、平成17年度期に入った。
当機構は、米国のAFI(American Film Institute)や英国のUKFC(UK Film Council)に倣い、映画、放送番組、アニメーション、ゲーム、音楽等の映像コンテンツに係る創作、事業化、内外市場への提供を支援することを通じて、わが国のエンターテイメント・コンテンツ産業を国際競争力ある産業とすることを目的としている。そのために、大学等の教育機関との連携・協力を図り、関係企業・団体・職能者組織の協力と、政府、地方公共団体による政策・施策を有機的に組み合わせのうえ、(1)教育機関等と連携した人材育成支援、(2)作品の制作支援、(3)起業支援、(4)内外の市場開拓、を主たる事業の柱とし、あわせて関連する事業を行うものである。平成17年度においても、この大綱に基づき、各種事業を行った。
尚、当機構が係った政府予算は、各省庁からの直接の受託事業と、当機構が斡旋したことにより教育機関が採択された委託研究事業を合わせると、約12億2700万円となった。

2. 事業の実施に関する事項

  1. 特定非営利活動に関する事業
    1. 映像コンテンツ産業に係る人材の育成事業
      1. 「コンテンツ人材育成総合プログラム」(経済産業省受託費3558万円) 産学連携による「三方得インターンシップ」を行った。これは経済産業省から受託した事業である。このプログラムは①インターンシップ②シンポジウム、フォーラムの開催③映像産業に関わる人材育成の展開についての調査・研究(東京大学へ委託)の各事業で構成されている。
        1. インターンシップ
          事業者に対しインターン受け入れ可能な企画を公募するとともに、大学院、大学、短大、専門学校から学生を推薦してもらい、派遣学生と企画のマッチングを行った。学生は10月より順次、現場で実習を行った。
        2. シンポジウム、フォーラムの開催
          第18回東京国際映画祭にて「コンテンツ産業、今そこにある危機」(10月22日)と題してシンポジウムを開催した。内容は、「金融技術は何を変えたか?」「媒体別お客様像大議論」「コンテンツ人材像大議論」「物語創造メソッド大議論」の4部構成であった。
          さらに、コンテンツ・インターンシップ・フォーラム2006を東京大学で開催し(3月7日)、三方得インターンシップの成果報告、講演会、座談会を行った。
        3. コンテンツ人材育成に関する調査
          調査・研究を東京大学に委託した。内容は「コンテンツ産業界に適した人材育成システムを構築するために、カリキュラム開発、テキスト作成、インターンシッププログラムの確立、教育担当者データベース資料策定の調査、研究」である。
      2. ゲートキーパー育成(文化庁受託費300万円)
        毎日映画コンクールの審査過程で行われた学生選考委員制度において、学生に対し審査に関する講習を行った。(12月13日)
      3. 文化庁映画関係団体等の人材育成事業支援全体会議に参加した。 (4月26日~)
      4. 文化庁の新進芸術家海外留学制度の推薦団体となり、応募者2人を文化庁へ推薦し、内1名が内定した。
      5. JETRO主催の「映像プロデューサーのための北米映画市場開拓講座」(11月2日~5日)を共催した。映像プロデユーサー20名の参加を得、AFIによる講義及びUCLAのエクステンションプログラムによる講座を受講していただいた。そのうち、AFIのセミナーはVIPOが主催した。
      6. ヒューマントラストシネマの後援を行うことにより、脚本家・監督・役者等の育成支援を行った。(2月~)。
    2. 映像コンテンツ作品制作への支援に係る事業
      1. 企画マーケット事業(経済産業省受託費2902万円)
        *「4 映像コンテンツの国内・国際市場整備に係る事業」と重複
        第18回東京国際映画祭において、TPG(Tokyo Project Gathering)の実施を行った。これは、作品企画段階での、出資者と制作者の交流によって、企画の具現化を図るものであり、制作支援の性格を有するものである。下記4.(1)も参照されたい。
    3. 映像コンテンツ関係起業への支援に係る事業
      1. 大阪デジタルコンテンツビジネス創出協議会に団体会員として入会するに当たり、有効な起業支援の施策を検討。
    4. 映像コンテンツの国内・国際市場整備に係る事業
      1. 企画マーケット事業(経済産業省受託費2902万円)
        第18回東京国際映画祭の関連企画Tokyo Project Gathering を経済産業省と共同で主催した(共催は(財)日本映像国際振興協会と日本映像振興(株))。日本の企画に、アジアからの出資を募ることにより、アジアの国々との共同制作を目指したものであり、主な内容は以下のとおりである。
        • プレゼンテーション:10月26日(水)15:00~18:00。 六本木ヒルズ森タワーにて、国内外のバイヤー、プロデューサー、投資家等に対して6組の企画が発表された。
        • 交流パーティー:10月26日(水)20:30~22:00。「ウォンズ・シノワ」にて、上記プレゼンターに加え、国内のプロデューサー等と、海外のプロデューサー等との交流会がなされた。
        • 個別ミーティング:10月27日(木)~28日(金)10:00~18:00。森タワーにて、企画出品者と国内外のバイヤー、投資家等との個別ミーティング
      2. 韓国における日本映画上映会事業(文化庁受託費1億3820万円)
        「日韓友情年2005」の記念事業として、10月にソウルで児童を対象にした「日韓こども文化交流―これから一緒に歩く道―」、11月には同じくソウルで一般を対象にした「日本映画―多様な展開」を文化庁、他と共に主催した。
        「日韓こども文化交流」に関しては、オープニングとして新作「ヒノキオ」を含め児童映画8作品を上映した。期間中に共通映画鑑賞を通して、日韓中学生によるトークセッションと、河合隼雄文化庁長官と韓国を代表する女優であるチャン・ミヒ氏との対談、このほかに「ヒノキオ」の秋山監督とヒノキオ・ロボットなどの舞台挨拶を行った。
        「日本映画―多様な展開」に関しては、約2週間の期間中に45作品を上映した。「男はつらいよ」「日本一の若大将」「トラック野郎」等のシリーズ作品もラインアップされ多様な話題作を用意した。また会期中には韓国映画および文化人とのシンポジウムを複数開催した。また監督を始めとする多様なゲストの参加を得た。
      3. 「今後の放送番組の海外展開手法に関する調査・研究」(総務省受託費1491万円)
        放送局や番組制作者を調査対象として、アンケートおよびヒヤリング調査を実施した。並行して有識者による検討会を開催し、今後のわが国の放送番組の海外展開についての手法について、研究、提言をまとめ、総務省へ提出をした。これらの調査および検討会での検討を踏まえ、事業者向けに、「放送番組海外展開マニュアル」の作成を行い、今後の放送番組輸出への支援材料を調えた
      4. 世界映画人会議(109万円)
        *「8 海外の同様の機関との連携・交流に係る事業」と重複
        文化庁が東京国際映画祭事務局に委託した「世界映画人会議」(10月23日)の企画を担当した。参加を依頼した3カ国(米:AFI、仏:CNC,韓:KOFIC)との間で、作品の国際展開に係る政策支援の手法や考え方、等の意見交換を行った。あわせてこれらの政策振興機関との交流を持つことができた。
      5. 文化庁日本映画海外展開助成の選考委員会への参加。(10月19日~)
        これにより、海外の映画祭に出展するための字幕制作費、渡航費、広告費を助成し、国際市場への進出を支援した。
      6. 文化庁受託事業として釜山国際映画祭でのジャパンナイトを実施し、アジアの映画関係者との交流を行った。
      7. 経済産業省受託事業として香港映画祭でのジャパンナイトを実施し、「佐賀のがばいばあちゃん」を上映し、T!FFCOMのPRを行った。なお、「佐賀のがばいばあちゃん」は、その場で台湾への上映権販売の交渉が成立した。
      8. 経団連エンターテインメント・コンテンツ産業部会コンテンツ流通促進分科会に参加し、コンテンツ・ポータルサイト構築の検討を行った(6月~) 。これは、国内外へのコンテンツ販売の促進を図るツールとして構築されるものである。
      9. 文化庁日本映画情報システム検討委員会に参加した (1月20日~)。日本映画の振興のため、日本映画作品に関する情報を網羅的に把握し、映画フィルムの収集、保存、上映に役立てるとともに、その情報を広く一般に提供することを目的とする。
      10. 経済産業省がイニシアティブをとったアジアコンテンツ産業セミナーにおいて、依田巽理事による議事進行、迫本淳一理事長による基調講演、石川知春事務局長と内山隆理事による意見提案を行った(10月27日)。本セミナーはアジア14ヵ国間でのコンテンツ産業の発展と協力を目指すものであり、翌日28日には、閣僚による共同声明が発表された。主たるポイントは、①コンテンツ国際共同製作の推進、②人材育成・人材交流の推進、③コンテンツ市場の拡大、④コンテンツ貿易投資環境の整備/情報の共有、である。
      11. 化庁メディア芸術祭ワークショップ、アジア学生アニメコラボレーション(3月1日)を共催し、作品の総評に関係した。これを通して、韓国を始めとするアジア各国との交流を行った。
    5. 映像コンテンツ産業に関する調査研究、情報収集・提供に係る事業
      1. 映像産業現状調査
        内山隆当機構理事(千葉商科大学)を中心にアンケート方式による「映像産業現状調査」を平成17年1月に実施した。それをもとに、映画・放送・ゲーム・アニメ・音楽各業界の映像プロデューサーの人材育成に関する現状と課題を調査分析し、報告書(冊子)の作成、ホームページ上での公開を行った。(7月)
      2. 「知的財産推進計画2005」策定に向けて
        「映像産業現状調査」および映画会社、テレビ番組制作者など関係各所から聴取した意見をもとに提案書「『知的財産推進計画2005』策定に向けて」を取りまとめ、政府関係省庁、日本経団連に働きかけた結果、「知的財産推進計画2005」(6月10日決定)において、当機構が要望した多くの項目が盛り込まれた。
      3. 国内外の映画祭・マーケットの視察調査
        国内外の映画祭・マーケットの視察調査を行った。今後ガイドブックにまとめる予定。釜山国際映画祭(10月) 、AFM(11月) 、ロッテルダム映画祭(1月) 、NATPE(1月) 、ベルリン映画祭(2月) 夕張映画祭(2月)等
      4. その他
        既出の「コンテンツ人材育成に関する調査」(cf. 2,[1]1,(1)③)、「今後の放送番組の海外展開手法に関する調査・研究」(cf. 2[1],3,(3))をはじめとして、各種の事業活動を通して得られた知見は、政策当局への提案として各事業の報告書にまとめられ、委託元の関係省庁へ提案されている。またこれらの一部は、一般向けにも公開されている。
    6. 映像コンテンツ産業に関する交流促進に係る事業
      1. 文化庁が主催する「映画・メディア芸術に関する会合」(6月29日)の共催を行い、迫本淳一理事長による講演を行った。さらにパネル・ディスカッションでは、パネラーとして安藤紘平理事(早稲田大学)、源田悦夫理事(九州大学)が討論に参加した。
    7. 映像コンテンツ産業に関する普及・啓発に係る事業

      *「1 映像コンテンツ産業に係る人材の育成事業(1)」と重複

      1. シンポジウム、フォーラムの開催
        第18回東京国際映画祭にて「コンテンツ産業、今そこにある危機」(10月22日)と題してシンポジウムを開催した。内容は、「金融技術は何を変えたか?」「媒体別お客様像大議論」「コンテンツ人材像大議論」「物語創造メソッド大議論」の4部構成であった。
        さらに、コンテンツ・インターンシップ・フォーラム2006を東京大学で開催し(3月7日)、三方得インターンシップの成果報告、講演会、座談会を行った。
    8. 海外の同様の機関との連携・交流に係る事業
      1. 世界映画人会議(109万円)
        文化庁が東京国際映画祭事務局に委託した「世界映画人会議」(10月23日)の企画を担当した。参加を依頼した3カ国(米:AFI、仏:CNC,韓:KOFIC)との間で、作品の国際展開に係る政策支援の手法や考え方、等の意見交換を行った。あわせてこれらの政策振興機関との交流を持つことができた。
      2. AFIとの交流
        JETROとの共催となった「映像プロデューサーのための北米市場開拓講座」において、AFIによる講義をいただいた(11月2日)。
        今後の相互交流について、3月に会合を持ち、4つの事項についての協力の覚書がなされた。
      3. CNCとUniFrance(フランス)との交流
        6月に、ユニフランス代表マーガレット・メネゴーズ氏および副代表マルク・ピトン氏の訪問を受けた。
        2月6日に、T!FFCOMへの出展勧誘についてアドバイスを得るべく、パリのCNC本部およびユニフランス本部を訪問した。
      4. UKFCとの交流
        3月15日に、UKFC輸出開発部シニア・エグゼクティブ、セーラ・マッケンジー氏の訪問を受け、今後の両組織の協力の確認を行った。
    9. 教育・研究機関との連携
      1. 文部科学省「科学技術振興調整費」による委託研究事業の斡旋
        複数の大学院、大学に対し、文部科学省「科学技術振興調整費」への応募の斡旋を行った。その結果、九州大学、デジタル・ハリウッド大学院大学が採択され(5月26日承認)、5年間にわたっての委託研究事業を行っている。(合計10億500万円)
    10. 会員間の交流に係る事業
      1. 大阪事務所開所式においてパネルディスカッション及び懇親会を行い、関西在住の会員を中心に交流を行った(3月17日)。
    11. 書籍の出版に係る事業
      1. VIPO調査レポート「映像産業で必要とされる人的資源とその育成について の専門責任者・意識調査」を発行した。
    12. 組織運営
      1. 事業・運営の方針
        1. 「映像産業振興機構の社会的機能と短期目標」を内山理事が中心となり、冊子にまとめた(6月)。参考資料として「英・仏・独をはじめとした映像振興を目的とした政策組織の事例」を作成。自由民主党コンテンツ産業振興議員連盟と知的財産推進戦略事務局で説明を行った。
        2. 「VIPOの事業と運営に関する3ヵ年ロードマップ」を作成し (12月)、 知財推進事務局、文化庁、経済産業省、総務省、外務省へ説明を行った。
      2. 運営体制の整備
        1. 会員の募集(平成17年2月~)を行っている。現時点で、個人会員21件、法人会員92件、賛助会員17件の合計130件の入会を得た。
        2. NPO法人の登記が認証された(6月1日)。
        3. 理事会、成立記念式典、平成17年度通常総会を開催し、準備期間中の活動報告、収支報告、平成17年度事業計画の変更、会計収支予算の変更、定款修正、理事の選任、事務局の組織及び運営の変更等を行った(7月6日)。幹事理事会を開催し、映画、放送、ゲーム、アニメ、音楽及び電機業界からの意見、要望等をうかがった(9月30日)。
          臨時総会を開催し、借入、理事の選任、役員報酬についての議決を行った。(11月28日)
        4. 大阪事務所を開設(9月)し、開所式を行った(3月17日)。
        5. 事務局の人員の拡充が行われ、当初からの映画業界に加え、放送業界(6月)、レコード業界からの出向者(7月)、契約者・人材派遣会社からの派遣者(8、10月)が加わり、従事者が13名となる。
        6. 経理規程、経理規程細則、印章管理規程(6月1日) 、講師謝礼基準(8月15日)、国内・海外旅費規程(9月1日)の制定を行った。

参考:文責 内山隆理事

KOCCA(韓国文化コンテンツ振興院);2001年創立のマンガ、アニメ、キャラクター、音楽、インターネット/モバイル・コンテンツ、等を対象とした政策振興機関。

KOFIC(韓国映画振興院); 1973年創立のKMPPCを由来とする韓国の映画振興を目的とした、文化観光省の支援を受ける政策組織。金大中政権の文化産業重視の政策の下、1999年にKOFICとして成立。予算規模約520億ウォン規模。

AFI(全米映画協会);1967年に、次世代の映画人への教育を目的として創立された非営利の組織。その後、古い映画の保存、一般人向けの映画の普及啓蒙活動、文化的な映画への支援や映画祭の開催、各種の研究開発など、他国の振興機関と変らない事業メニューを持つものとなった。一部、連邦政府の資金も組み入れられている。年間予算約3000万ドル規模。

CNC(国立映画センター);1946年創立の、文化コミュニケーション省傘下の政策組織。その政策メニューの多様性は、世界随一である。年間予算約5億2000万ユーロ規模

UKFC(UKフィルム・カウンシル;英国映画協議会):2000年にブレア政権の意をうける形で設立された文化メディア・スポーツ省傘下の政策機関。年間予算約5700万ポンド規模。

活動報告