【第4話】AFI卒業生とのQ&A (1)
〜編集学科 (Editing Course) 卒・加藤閑さん〜
- Q. AFIに入るまでの経歴と、AFIを目指そうと思ったきっかけは?
- A. 米国の大学を卒業後、NYU(New York University)の短期コースでフィルム制作を学び、帰国。日本のケーブルテレビ局でOn Air Promoを制作していました。AFIは編集専門のコースがあり、他の映画大学院と比べ、より実践的と聞き応募しました。
- Q. あなたの学科の入学審査プロセスを教えてください。また、その中で大変だったことや工夫した点を教えてください。
- A. 自分の編集した作品を12月に提出した後、春に面接。一番気をつかったのは推薦状です。自分自身の経験ではないですが、私の後に入学した学生達のプロセスを見ているとAFIの卒業制作の際に手伝いなどをして推薦状をもらうと良いと聞きました。手伝いをしたからというより、やっぱりセットで長い時間を過ごすと人間性などが良く伝わって、きちんとした推薦状を書いていただけるのではないでしょうか。
- Q. あなたの学科の2年半のカリキュラムの流れ、また特に感銘を受けたクラスがあれば教えてください。
- A. 2年間で、技術的な面とクリエイティブな面、両方の観点から、編集者としてやっていけるよう教育されます。1年目はブート・キャンプ(Boot camp)と言われる過密スケジュールの1週間から始まります。その後、約20分のショートフィルムを6本編集します。編集スケジュールはあえて、タイトにしてあり、遅れは許されません。撮影クルーにも参加します。編集しながら、クラス、撮影、そして次の作品のためにどんどん同級生に会ってチームを組みます。
編集は、ハリウッドのポストプロダクションの流れにそって、1週間はスクリプトにそったファーストカットをつくります。それを編集分析のクラスで、チームメイトたちと一緒に観ます。容赦なく分析・指摘されるので、監督のなかには恐怖を感じる人もいます。13人の編集学科のクラスメートと忌憚ない意見を述べ合い、どの意見を取捨選択するべきか学べ、私にとってはとても有意義なクラスでした。その批評をうけて監督と一緒に約1週間強でディレクターズカット。音のミックス、ADR(Automated Dialogue Replacement)は、2日でやります。
できあがったものを同学年全員に見せて、批評を受けます。このクラスでは私たちは主にフランク・ピアソン(Frank Pierson :『狼たちの午後』でアカデミー脚本賞受賞)に進行役をしていただきましたが、彼の批評は王道で、また生徒が論争に入るとうまく議論をコントロールし、その采配は興味深いものでした。
2年目は卒業制作。1年目と違い、自分たちでスケジュールをきっちりこなしていかないと卒業できません。テクニカラー(Technicolor) やハリウッドの一流のベンダーの方達とやり取りする事でポストプロダクションの流れを体験しながら学びます。エディターは2本制作担当するので、かぶっている時間をどうこなしていくかが鍵になります。大変なのは、卒業制作費集めですが、これも勉強です。ポストプロダクション・スーパーバイザーとしてやっていけるよう、それ専門のクラスも必須です。 - Q. あなたの学科のクラスメートについて教えてください。
- A. アメリカ人8人、イギリス人1人、イスラエル人1人、ノルウェー人1人、日本人1人。卒業してすぐの人は少なく、なんらかの形で編集の仕事の経験がありました。
- Q. AFIでの2年半を100点満点で採点すると?
- A. 80点。良かったところは、本当の意味でのエキスパートに出会える機会が多かったからです。一緒に仕事をしていきたいという友人達にも恵まれました。改善してほしいところは、学費でしょうか。
- Q. あなたのAFI卒業後のキャリアは?
- A. ハリウッドで編集者として働き始めています。
- Q. AFIならびに米国のフィルム・スクールを目指す人へのアドバイスやメッセージをお願いします。
- A. 自分のヴィジョンを持っている事、人とのコラボレーションができる事がここでは大事だと思います。自分の伝えたい事を、他の人と一緒に作る事のできる喜び、伝えられた時の達成感を楽しんで下さい。
加藤 閑 (かとう・のどか)
コロラド大学分子生物学部を卒業後、ニューヨークに移り、New York Universityでフィルム制作を学ぶ。その後帰国し、ケーブル局で海外ドラマの番組宣伝用プロモを制作。ギャガ会長兼東京国際映画祭チェアマン依田巽氏からの奨学金を受け、2007年8月AFI(エディティング専攻)に入学、2009年12月卒業し、Master of Fine Arts を取得。ハリウッドで編集者として働いている。